定義
腸管内分泌細胞は消化管上皮に散在する感覚・分泌細胞であり、腔内栄養素や腸内細菌由来代謝物を受容体・輸送体で感知して、GLP-1、GIP、コレシストキニン、ペプチドYY、セクレチン、セロトニンなどを基底側へ放出する。これらの信号は血流を介する内分泌作用、近傍細胞への傍分泌作用、迷走神経求心路を介する神経作用として、消化器官と中枢神経系へ伝わる。
イメージ
腸管は栄養を受動的に吸収するだけの管ではなく、食物の種類を分析するセンサー列を持つ。脂肪が来れば胆汁と膵酵素を準備し、糖が来ればインスリン分泌を先回りさせ、遠位腸管まで栄養が届けば胃排出や食欲を抑える。
仕組み
グルコースはSGLT1を介する電気活動や細胞内代謝によってK細胞・L細胞を刺激する。長鎖脂肪酸はFFAR1やGPR120、モノアシルグリセロールはGPR119、胆汁酸はTGR5、短鎖脂肪酸はFFAR2・FFAR3などを介して分泌を調節する。コレシストキニンは胆嚢収縮、膵酵素分泌、胃排出抑制へ働き、セクレチンは膵・胆道のHCO₃⁻分泌を促す。GLP-1とGIPは膵島機能を増強し、ペプチドYYとGLP-1は胃腸運動を抑え、満腹感を高める。腸管内分泌細胞は必ずしも一細胞一ホルモンではなく、部位や刺激に応じて複数のペプチドを共発現する。
例
脂肪を含む食事ではコレシストキニンが胆嚢収縮と膵外分泌を促し、遠位腸管から分泌されるペプチドYYとGLP-1が胃排出を遅らせる。経口グルコースではGIPとGLP-1がインクレチン効果を形成する。腸内細菌由来短鎖脂肪酸もL細胞や局所神経へ作用し得る。