定義
特異体質性薬物反応は、通常用量でごく一部の患者に予測困難に生じる有害反応であり、薬理作用の単純な延長として説明できる用量依存性毒性とは異なる。薬物または反応性代謝物がタンパク質付加体を作る、HLAやT細胞受容体へ直接作用する、細胞ストレスと危険信号を生むなどの要因に、遺伝的素因と免疫環境が重なって、肝障害、無顆粒球症、重症薬疹などを起こす。
イメージ
誰にでも同じ方向へ強く効きすぎる副作用ではなく、特定の人で代謝・解毒・HLA・免疫環境などの条件がそろった時に起こる。反応性代謝物という火花が生じても、解毒能力や免疫状態が違えば発症しないことが多い。
仕組み
第I相代謝で求電子性中間体が生じると、通常はグルタチオン抱合などで無毒化される。産生が多い、または防御が不足すると細胞タンパク質へ共有結合する。ハプテン機序では、修飾タンパク質由来ペプチドがHLAに提示されT細胞を活性化する。薬理学的相互作用の概念では、薬物がHLAまたはT細胞受容体へ非共有結合性に直接結合する。別の機序では薬物がHLA結合溝を変え、通常とは異なる自己ペプチドを提示させる。ミトコンドリア・小胞体ストレス、細胞死によるDAMP、感染・炎症が共刺激を供給する。特定HLAアレルは一部薬物反応の危険を大きく変えるが、保有者全員が発症するわけではない。投与量、曝露期間、代謝酵素、年齢、性別、免疫調節も影響する。
例
特定HLAアレル保有者では、ある薬物による重症皮膚有害反応の危険が大きく上がることがある。別の薬物では反応性代謝物が肝細胞ストレスを起こし、遅れて獲得免疫応答が加わることで肝障害となる。多くの曝露者が無症状であることは、複数要因が必要なことを示す。