定義
免疫複合体のクリアランスは、血中で形成された抗原–抗体複合体へ補体断片を付着させ、赤血球の補体受容体1(CR1)などへ結合させて、肝臓・脾臓の貪食細胞へ輸送し除去する機構である。複合体の大きさ、抗原と抗体の比、補体機能、網内系の処理能力が、血中残存時間と組織沈着のしやすさを左右する。
イメージ
小さな免疫複合体を血管壁や糸球体へ沈着させないよう、赤血球が回収車として拾い、肝臓や脾臓の処理場へ運ぶ。赤血球自体が分解するのではなく、マクロファージへ荷物を渡して再び循環へ戻る。
仕組み
古典経路の補体活性化によりC3bやC4bが免疫複合体へ共有結合し、その一部は第I因子などでiC3bやC3dへ処理される。ヒト赤血球表面のCR1はC3b・C4bで覆われた複合体を結合し、血流に乗って肝類洞と脾臓へ運ぶ。Kupffer細胞や脾マクロファージはFc受容体と補体受容体を用いて複合体を受け取り、貪食する。赤血球は大きく障害されず循環へ戻る。抗原過剰では小さく可溶性の複合体ができやすく、除去が遅くなる。補体消費、CR1低下、複合体量の過剰、網内系機能低下があると、糸球体、血管壁、関節などへ沈着し、局所補体活性化と好中球傷害を起こす。複合体の大きさ、電荷、血行動態、血管透過性も沈着部位を決める。
例
持続的に大量の抗原が存在する状況で抗体が作られると、小型免疫複合体が長く血中に残り、処理能力を超えて糸球体へ沈着することがある。全身性エリテマトーデスでは、自己抗原量の増加や補体機能異常が免疫複合体処理不全へ関与する。