定義
免疫老化は、加齢に伴う自然免疫・獲得免疫の構成と機能の変化であり、胸腺退縮、未熟T細胞・B細胞の減少、特定クローンの偏り、ワクチン応答低下などを含む。インフラメイジングは、明らかな急性感染がないにもかかわらず、IL-6、TNF、CRPなどの低度炎症性信号が慢性的に高い状態をいう。両者は関連するが同義ではない。
イメージ
高齢者の免疫系は単に弱くなるのではない。新しい病原体へ対応する新兵と多様性は減る一方、古い細胞損傷や代謝異常への小さな警報が鳴り続ける。そのため、防御力低下と慢性炎症が同時にみられる。
仕組み
胸腺退縮により未熟T細胞の供給が減り、恒常性増殖と持続抗原刺激によって記憶・エフェクターT細胞のクローン構成が偏る。テロメア短縮、DNA損傷、ミトコンドリア機能低下、エピジェネティック変化はリンパ球増殖を制限する。B細胞受容体の多様性、クラススイッチ、親和性成熟も低下しやすい。好中球・マクロファージでは走化性、貪食、インターフェロン応答が変化する一方、NLRP3インフラマソーム活性や骨髄系偏位が増える。老化細胞が分泌する炎症性物質、内臓脂肪、腸管障壁変化、微生物由来成分、酸化脂質、細胞外DNA、クローン性造血などが慢性炎症を支える。サイトメガロウイルスなどの持続感染はT細胞レパートリーを占有し得る。慢性炎症は動脈硬化、サルコペニア、神経変性へ寄与し、組織障害がさらに炎症を増やす循環を作る。
例
高齢者ではインフルエンザワクチン後の抗体価やT細胞応答が若年者より低いことがある。一方、基礎IL-6値が高い人ではフレイルや心血管疾患との関連がみられる。クローン性造血に由来する骨髄系細胞の炎症性変化が、加齢性血管疾患へ寄与する可能性もある。