定義
炎症の収束は、炎症促進物質が自然に枯渇するだけでなく、白血球動員の停止、好中球のアポトーシスとエフェロサイトーシス、マクロファージ機能の変化、リンパ流による除去、組織修復を順序立てて進める能動的な過程である。炎症収束性メディエーターには、リポキシン、レゾルビン、プロテクチン、マレシンなどが含まれる。
イメージ
火事を終わらせるには、燃料が尽きるのを待つだけではなく、消防隊の追加出動を止め、残骸を片づけ、壊れた建物を修復する必要がある。炎症の収束は免疫を麻痺させるのではなく、攻撃状態から清掃・修復状態へ切り替える仕組みである。
仕組み
急性炎症の後半には、アラキドン酸代謝がプロスタグランジン・ロイコトリエン優位からリポキシン産生へ移る脂質メディエーターの切替えが起こる。ω3脂肪酸由来のレゾルビン、プロテクチン、マレシンなどはGタンパク質共役型受容体を介し、好中球の走化性と血管外遊走を抑え、マクロファージによる死細胞除去と微生物処理を促す。アポトーシス細胞表面のホスファチジルセリンが認識されると、IL-10、TGF-β、代謝再編成などが誘導され、炎症を広げずに除去が進む。マクロファージは単純なM1・M2二分法では表せない連続的な状態を取り、細胞外基質改変、血管新生、上皮・幹細胞支援を調節する。リンパ流は細胞と残骸を排出し、障壁再建と線維芽細胞制御が完了して組織機能が戻る。収束が失敗すると、好中球残存、壊死、DAMP放出、線維化が相互に増幅する。
例
自然に終息する細菌性炎症では、病原体処理後に好中球がアポトーシスとなり、マクロファージに取り込まれる。走化性物質の勾配が消え、組織障壁が再建されて機能が回復する。死細胞除去が遅れると二次壊死によりDAMPが放出され、炎症が長期化する。