定義
平均循環充満圧は、血流がなくなり体循環内の圧が平衡化したと仮定した時の血管内圧である。血液量は、血管を満たすだけでほとんど圧を生まない非ストレス血液量と、血管壁を伸展させて弾性反発圧を生むストレス血液量に機能的に分けられる。静脈還流は、平均循環充満圧と右房圧の差を駆動力として生じる。
イメージ
静脈系を柔らかな貯水槽と考える。まず槽の形を満たすまでの水は圧をほとんど作らない。さらに水が入ると壁が張り、その反発で出口へ押し出す圧が生まれる。この押す圧が平均循環充満圧に相当する。
仕組み
全身静脈系はコンプライアンスが高く、血液の大部分を貯留する。輸液で総血液量が増える、または交感神経性静脈収縮で血管容量が減ると、非ストレス血液量の一部がストレス血液量へ移り、平均循環充満圧が上昇する。静脈還流は概念的に、平均循環充満圧と右房圧の差を静脈還流抵抗で割った値として表される。右房圧が低下すると静脈還流は増えるが、胸腔内大静脈が虚脱するとそれ以上増えにくくなる。動脈より静脈のコンプライアンス変化が平均循環充満圧へ大きく影響するため、血液量と静脈緊張は異なる方法で同じ駆動圧を変える。
例
出血ではストレス血液量が減り、平均循環充満圧が低下して静脈還流が減る。輸液は総血液量を増やし、静脈収縮薬は総量を変えずに静脈容量を減らして平均循環充満圧を上げ得る。静脈拡張薬は逆にストレス血液量を減らし、前負荷を低下させる。