定義
神経血管カップリングとは、ニューロンの活動変化を局所脳血流、血液量、酸素化の変化へ変換する過程である。ニューロン、介在ニューロン、アストロサイト、血管内皮細胞、周皮細胞、血管平滑筋からなる神経血管単位が協調して、活動した脳領域に選択的な機能性充血を起こす。全身血圧の変動に対して脳血流を保つ脳血流自動調節とは目的と入力が異なる。
イメージ
脳全体の血流を一律に増やすのではなく、今働いている回路へ数秒以内に燃料を追加配送する局所発注システムと考える。ニューロンは周囲の細胞や代謝物を介して、近くの細動脈や毛細血管へ需要を伝える。
仕組み
興奮性シナプス活動が増えると、シナプス後細胞のCa²⁺、介在ニューロン由来一酸化窒素、アストロサイトのCa²⁺やK⁺処理、アラキドン酸代謝物、アデノシンなどが変化する。一酸化窒素、プロスタグランジン、エポキシエイコサトリエン酸、細胞外K⁺などが細動脈平滑筋や周皮細胞の緊張を低下させ、局所血流を増やす。血管内皮を介して拡張信号が上流血管へ伝わる場合もある。神経活動増加時は酸素消費も増えるが、通常は血流増加の方が大きいため、局所の脱酸素化ヘモグロビンが相対的に減少する。この変化がBOLD法による機能的MRI信号の基盤となる。
例
視覚刺激を与えると視覚野の血流が増え、機能的MRIや近赤外分光法で間接的に検出できる。加齢、脳小血管障害、アストロサイト機能障害では、同じ神経活動に対する血流応答が弱くなり、画像信号と神経活動の関係が変化することがある。