定義
呼吸性洞性不整脈は、正常洞調律のもとで吸気時にRR間隔が短くなり、呼気時に長くなる周期的変化である。心拍変動は、連続するRR間隔の揺らぎを時間領域、周波数領域、非線形指標などで定量化したものである。呼吸性洞性不整脈は主に呼吸周波数帯における迷走神経性調節を反映するが、心拍変動全体は呼吸、圧受容器反射、姿勢、体温、行動、平均心拍数など多くの因子から影響を受ける。
イメージ
心拍は機械的なメトロノームのように完全一定ではなく、呼吸や血圧の変化に合わせて一拍ごとに調整される。吸気では迷走神経によるブレーキが弱くなって心拍が速まり、呼気ではブレーキが強まって遅くなる。
仕組み
吸気時には、延髄呼吸回路から心臓迷走神経への抑制性入力、肺伸展受容器からの入力、胸腔内圧変化による静脈還流・一回拍出量変化、圧受容器反射が組み合わさり、洞結節への迷走神経活動が減る。迷走神経作用は発現と消失が速いため、呼吸周期に追随しやすい。心拍変動の高周波成分は呼吸周波数帯の迷走神経性変動と関連する。低周波成分には圧受容器反射を介した交感・副交感双方の影響が含まれ、単一の神経成分とはみなしにくい。解析値は平均心拍数、呼吸数、測定時間、姿勢、異常拍の除去方法によって大きく変わる。
例
若年健常者では安静時や深呼吸時に呼吸性洞性不整脈が目立つ。運動開始時にはまず迷走神経活動が低下して心拍数が増え、運動強度が上がると交感神経作用が加わる。糖尿病性自律神経障害や重症疾患では心拍変動が低下することがあるが、低下の原因は一つではない。