定義
睡眠恒常性は、覚醒が長く続くほど睡眠の必要性が高まり、睡眠によってその圧力が低下する過程である。これを恒常性過程Sと呼び、視交叉上核を中心とする概日過程Cと相互作用して入眠・覚醒時刻を決める。睡眠構築とは、NREM睡眠のN1、N2、N3とREM睡眠が一晩に複数回並ぶ時間構造であり、夜の前半は徐波睡眠、後半はREM睡眠が相対的に多い。
イメージ
眠気は一つの時計だけで決まらない。起き続けるほどたまる睡眠圧と、体内時計が作る覚醒しやすい時間帯・眠りやすい時間帯が綱引きする。入眠後は深いNREM睡眠を中心に睡眠圧が下がり、夜の後半ほどREM睡眠が長くなる。
仕組み
覚醒中の神経活動と代謝活動に伴いアデノシンなどが蓄積し、前脳基底部を含む覚醒系を抑制して睡眠圧を高める。睡眠中、とくにN3でみられる徐波活動の強さは直前の覚醒時間に応じて増え、睡眠圧低下の指標となる。視交叉上核は網膜からの光入力で外界の明暗周期へ同調し、メラトニン、体温、オレキシン系、脳幹モノアミン系、腹外側視索前野のGABA作動性ニューロンなどを介して概日性の睡眠・覚醒傾向を作る。NREM睡眠では視床–皮質回路の同期が高まり、REM睡眠では橋を中心とする回路が活性化して急速眼球運動と骨格筋緊張低下が生じる。
例
徹夜後には入眠が速くなり、睡眠前半のN3と徐波活動が増える。長い昼寝で睡眠圧が低下すると、夜の入眠が遅れることがある。時差移動では睡眠圧が高くても概日時計が現地時間へ同調しておらず、眠気、体温、ホルモン分泌の時刻がずれる。