定義
平滑筋の興奮収縮連関は、膜電位変化、受容体刺激、伸展などを細胞内Ca²⁺上昇へ変換し、Ca²⁺–カルモジュリン–ミオシン軽鎖キナーゼ系を介してミオシン調節軽鎖をリン酸化し、アクチンとミオシンの相互作用を開始する過程である。骨格筋と異なり、収縮開始にトロポニンを用いない。張力はCa²⁺濃度だけでなく、ミオシン軽鎖キナーゼとミオシン軽鎖ホスファターゼの均衡、すなわちCa²⁺感受性にも左右される。
イメージ
骨格筋ではCa²⁺がアクチン側のトロポニンへ作用するが、平滑筋ではミオシン側へ作動許可を与える。Ca²⁺が増えるとカルモジュリンがMLCKを起動し、ミオシンへリン酸を付けて動かす。ミオシン軽鎖ホスファターゼがリン酸を外すと弛緩へ向かう。
仕組み
Ca²⁺は電位依存性Ca²⁺チャネル、受容体作動性チャネル、ストア作動性チャネル、IP₃受容体などを介して細胞質へ増加する。Ca²⁺–カルモジュリン複合体がMLCKを活性化し、ミオシン軽鎖をリン酸化すると、ミオシンATPアーゼ活性と架橋運動が高まる。弛緩には、SERCA、細胞膜Ca²⁺ポンプ、Na⁺/Ca²⁺交換体によるCa²⁺低下と、ミオシン軽鎖ホスファターゼによる脱リン酸化が必要である。RhoA–ROCK経路やPKCはホスファターゼを抑制し、同じCa²⁺濃度でも収縮を強めるCa²⁺感受性増強を起こす。NO–cGMP–PKG経路はCa²⁺低下とホスファターゼ活性化を通じて弛緩を促す。密着体と中間径フィラメントは張力を細胞全体へ伝える。
例
血管平滑筋では膜脱分極によるL型Ca²⁺チャネル開口が収縮を促し、内皮由来NOはcGMP経路で弛緩させる。気道、消化管、子宮では、Gタンパク質共役型受容体を介するIP₃産生とRhoキナーゼによるCa²⁺感受性調節が収縮パターンへ関与する。