定義
毛細血管におけるスターリングの法則は、毛細血管壁を介する水移動を、毛細血管内外の静水圧差、膠質浸透圧差、濾過係数、タンパク質反射係数から説明する原理である。正味の体液移動は概念的にJv = Kf[(Pc − Pi) − σ(πc − πi)]で表され、外向きの濾過がリンパ管の回収能力を上回ると浮腫が生じる。
イメージ
血管から水を外へ押し出す力と、血漿タンパク質が水を血管内へ引き留める力の綱引きと考える。さらに、毛細血管壁の水の通しやすさと、タンパク質をどれだけ通しにくいかによって、同じ圧力差でも移動量が変わる。
仕組み
毛細血管静水圧Pcは水を間質へ押し出し、間質静水圧Piはその方向を修正する。血漿膠質浸透圧πcは水を血管内へ保持し、間質膠質浸透圧πiは外向き移動を促す。Kfは毛細血管の表面積と水透過性をまとめた濾過係数、σはタンパク質を遮る程度を示す反射係数である。現在の改訂スターリング原理では、内皮グリコカリックス直下の低タンパク質層が重要とされ、正常組織では毛細血管静脈端で持続的に大量再吸収するというより、少量の正味濾過をリンパ系が回収する。静脈圧上昇、低アルブミン血症、炎症による透過性亢進、リンパ流障害はいずれも異なる項を変化させて浮腫を生む。
例
心不全などで静脈圧が上昇するとPcが高まり、毛細血管からの濾過が増える。炎症ではKfが増加し、σが低下してタンパク質を含む液が間質へ漏れやすくなる。低アルブミン血症ではπcが低下し、外向き濾過を抑える力が弱くなる。