定義
血管平滑筋の筋原性反応は、細動脈・小動脈が経壁圧や壁伸展の変化を直接感知して収縮・弛緩する性質である。圧上昇に対して収縮し、圧低下に対して弛緩するため、外部神経や代謝物を必須とせずに、灌流圧変動から局所血流と下流毛細血管を守る。腎輸入細動脈や脳細動脈で重要な自動調節機構である。
イメージ
圧で広がるままの柔らかい管ではなく、壁自身が伸びを検知して締め返す自動弁と考える。入口圧が上がると抵抗を増やし、流量と末梢圧の急増を抑える。
仕組み
経壁圧上昇は、平滑筋細胞膜、インテグリン、細胞骨格、機械感受性TRPチャネルなどを介して膜を脱分極させる。L型Ca²⁺チャネルが開くと細胞内Ca²⁺が増え、Ca²⁺–カルモジュリン–MLCK系が収縮を起こす。RhoA–ROCK経路によるCa²⁺感受性増強も持続収縮に寄与する。圧が低下すると膜の過分極、Ca²⁺低下、ミオシン軽鎖ホスファターゼ優位となり弛緩する。内皮由来因子は反応を修飾するが、基本的な筋原性収縮は内皮を除いた血管標本でも観察される。臓器ごとに反応の強さと作動圧範囲が異なる。
例
腎灌流圧が上がると輸入細動脈が収縮し、糸球体毛細血管圧と糸球体濾過量の過度な上昇を抑える。脳でも全身血圧上昇時に抵抗血管が収縮し、微小血管を高圧から保護する。慢性高血圧では血管構造の変化を伴い、自動調節範囲が高圧側へ移動することがある。