定義
West区域は、肺胞圧PA、肺動脈圧Pa、肺静脈圧Pvの相対関係によって肺内血流を区域1、2、3に分類する考え方である。区域1ではPA > Pa > Pvとなり肺胞毛細血管が圧迫され、血流が乏しい。区域2ではPa > PA > Pvとなり、血流は主にPa − PAで決まる。区域3ではPa > Pv > PAとなり、動静脈圧差Pa − Pvが通常の駆動圧となる。区域の分布は重力、肺気量、循環血液量、人工換気条件によって変化する。
イメージ
肺毛細血管は硬い管ではなく、外側から肺胞圧を受ける柔らかい管である。血管内圧が肺胞圧を上回る場所では血液が流れやすく、立位では下方ほど重力によって血管内圧が高くなるため血流が増える。
仕組み
区域1では肺胞圧が肺動脈圧を上回り、肺胞壁内血管が閉じて死腔に近い状態となる。区域2では入口側の肺動脈圧は肺胞圧を上回るが、出口側の肺静脈圧は肺胞圧を下回る。このため、肺胞圧が下流側の実効圧となり、Starling抵抗器または血管滝現象として血流がPa − PAに依存する。区域3では動脈圧・静脈圧とも肺胞圧より高く、血管は連続して開存する。低肺気量では肺胞外血管が狭くなる区域4様の状態が依存部に生じ得る。陽圧換気は肺胞圧を上げ、循環血液量減少は肺血管内圧を下げるため、区域1・2を拡大させる。
例
立位健常者では肺上部に区域2、肺下部に区域3が多い。運動で肺動脈圧が上がると肺毛細血管が動員され、区域3が広がる。出血や強い陽圧換気では、広い範囲で区域1に近い状態となり、肺胞死腔と肺血管抵抗が増えることがある。