急性リンパ性白血病は、リンパ球系の造血幹細胞が分化能を失い、未熟な白血病細胞(リンパ芽球)として骨髄中で自律増殖する血液腫瘍。小児がんで最も頻度が高く、小児では化学療法により高い治癒率を誇るが、成人では予後不良な染色体異常を伴うことが多い。
最終更新日: 2026年5月31日
急性リンパ性白血病は、リンパ球系の造血幹細胞が分化能を失い、未熟な白血病細胞(リンパ芽球)として骨髄中で自律増殖する血液腫瘍。小児がんで最も頻度が高く、小児では化学療法により高い治癒率を誇るが、成人では予後不良な染色体異常を伴うことが多い。
正常造血の抑制による症状:息切れ・動悸(貧血)、鼻出血・紫斑(血小板減少)、発熱・易感染性(正常白血球減少)。
臓器浸潤による症状:骨痛・関節痛(小児で多い)、リンパ節腫脹、肝脾腫、中枢神経症状(頭痛、嘔吐、脳神経麻痺)、無痛性の精巣腫大。
血液検査:白血球数は増多・正常・減少と様々だが、末梢血に芽球(blast)が出現。正球性正色素性貧血、血小板減少を伴う。
骨髄検査(確定診断):骨髄過形成で、有核細胞の20%以上(WHO分類)が『リンパ芽球』で占められる。ペルオキシダーゼ(MPO)染色【陰性】、PAS染色【陽性】。
染色体・遺伝子検査:Ph染色体(t(9;22) BCR-ABL1融合遺伝子)等の検索。
寛解導入療法:ステロイド(プレドニゾロン)、ビンクリスチン、アントラサイクリン系、L-アスパラギナーゼの多剤併用療法。
Ph陽性ALL:上記化学療法に『チロシンキナーゼ阻害薬(TKI:イマチニブ、ダサチニブなど)』を併用する。
中枢神経白血病の予防・治療:抗がん剤(MTXなど)の『髄腔内注射(髄注)』および頭蓋への放射線照射。
難治・再発例:同種造血幹細胞移植、CAR-T細胞療法(チサデゲンレクルユーセル)、二重特異性抗体(ブリナツモマブ)。
病態
リンパ芽球が骨髄内で無秩序に増殖し、正常な造血(赤血球、白血球、血小板)を阻害するため汎血球減少をきたす。血流に乗って全身に広がり、中枢神経(髄膜)や精巣などに浸潤しやすいのが特徴である。
試験・臨床での重要ポイント
国試では『小児(特に2〜5歳)に好発』することが大前提。細胞表面マーカーとしては、B細胞系(CD10、CD19等)が大多数を占める。T細胞系のALLは『縦隔腫瘍(胸腺の腫大による呼吸困難など)』を合併しやすいのが特徴。
成人のALLでは、約20〜30%にみられる『フィラデルフィア染色体(Ph:t(9;22))』が極めて重要。これがある場合は、化学療法に『チロシンキナーゼ阻害薬(TKI:イマチニブやダサチニブ)』を必ず併用する。
また、AML(急性骨髄性白血病)との最大の違いとして、中枢神経浸潤を防ぐための『予防的髄注(メトトレキサート等の髄腔内投与)』が治療プロトコルに組み込まれている点が問われる。
覚え方・コツ
「ALLは『子供のガンでダントツ1位、骨髄がリンパ芽球で埋め尽くされる病気』!正常な血が作れないから、貧血・出血・感染(発熱)で発症し、骨が痛くなる。髄液やタマタマ(精巣)に逃げ込みやすいから、抗がん剤を背中から注射(髄注)して予防しろ!大人のALLで『フィラデルフィア染色体(Ph)』が出たら、特効薬のTKI(イマチニブ)を絶対に飲ませろ!」
白血球減少症は、末梢血の白血球数が基準値(通常4000/μL未満)を下回る状態。臨床的に最も問題となるのは、細菌感染の防御を担う「好中球」の減少(好中球数1500/μL未満)であり、500/μL未満になると「無顆粒球症」と呼ばれ、致死的な感染症のリスクとなる。
非ホジキンリンパ腫は、ホジキンリンパ腫以外の全ての悪性リンパ腫の総称であり、日本のリンパ腫の90%以上を占める。B細胞性、T/NK細胞性に大別され、節外病変(胃、腸、甲状腺など)が多く、非連続性に飛び石のように転移する特徴がある。
慢性骨髄性白血病は、造血幹細胞の染色体異常(フィラデルフィア染色体)によって生じる骨髄増殖性腫瘍。異常なチロシンキナーゼ(BCR-ABL)が作られ、白血球(特に顆粒球系)が自律性に過剰増殖する。チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の登場により予後が劇的に改善した。
慢性リンパ性白血病は、形態的に成熟した小型のBリンパ球が異常増殖し、末梢血や骨髄、リンパ節に蓄積する低悪性度の血液腫瘍。欧米の白血病では最多だが、日本人には極めて稀である。進行が非常に緩徐であり、無症状の場合は治療を行わず経過観察される。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。