アルツハイマー型認知症は、脳内にアミロイドβやタウタンパク質が蓄積し、大脳皮質や海馬の神経細胞が脱落・萎縮することで進行性の認知機能障害をきたす疾患である。認知症の中で最も頻度が高く、近時記憶障害(物忘れ)から発症し、見当識障害や実行機能障害が進行する。
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中核症状:近時記憶障害(同じことを何度も聞く、置き忘れ)、見当識障害(道に迷う、日付がわからない)、実行機能障害(料理の手順がわからなくなる)、失語・失行・失認。
BPSD(行動・心理症状):徘徊、物盗られ妄想、幻覚、抑うつ、暴言・暴力、昼夜逆転。(※患者の性格や環境によって出現が異なる)
初期評価
問診、認知機能検査(HDS-R:長谷川式簡易知能評価スケールやMMSEなど)で近時記憶や見当識の低下を確認する。
検査
頭部MRI・CTで『海馬・側頭葉・頭頂葉を中心とする脳萎縮(側脳室の拡大、シルビウス裂の拡大)』。脳血流SPECTで『後部帯状回および楔前部、頭頂・側頭葉の血流低下』を確認。脳脊髄液検査でアミロイドβ42の低下とリン酸化タウの上昇。
治療方針
進行を遅らせるための薬物療法と、環境調整などの非薬物療法を組み合わせる。
薬物療法(中核症状に対して):アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン)や、NMDA受容体拮抗薬(メマンチン)。近年、アミロイドβに対する抗体薬(レカネマブなど)が早期アルツハイマー病に対して承認された。
BPSDに対するケア:患者の不安を取り除く対応、環境調整、必要に応じて少量の非定型抗精神病薬や漢方薬(抑肝散など)を用いる。
病態
アミロイド前駆タンパク質の代謝異常により、アミロイドβペプチドが細胞外に沈着(老人斑)、リン酸化タウタンパク質が細胞内に蓄積(神経原線維変化)し、神経細胞死を引き起こす。アセチルコリン神経系の機能低下が著しい。
試験・臨床での重要ポイント
国試やCBTでは「近時記憶障害(取り繕いや振り返り徴候を伴う)」、「見当識障害(時間→場所→人の順に障害される)」、画像検査での「海馬・側頭葉・頭頂葉の萎縮」、SPECTでの「頭頂・側頭葉の血流低下」が超頻出。また、中核症状(記憶障害など)とBPSD(周辺症状:徘徊、妄想、抑うつなど)の区別が重要。
覚え方・コツ
「アルツハイマーは『新しいことが覚えられない(近時記憶障害)』から始まる!脳のゴミ(アミロイドβ・タウ)が溜まって海馬が縮む。昔のことはよく覚えていて、作り話で取り繕うことが多い。コリンエステラーゼ阻害薬で進行を遅らせる!」
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ウェルニッケ脳症は、ビタミンB1(チアミン)の欠乏により発症する急性の脳症。眼球運動障害、運動失調、意識障害の三徴が特徴であり、アルコール依存症や低栄養患者に好発する。不可逆的なコルサコフ症候群への移行を防ぐため、糖液投与前のビタミンB1補充が絶対原則である。
MLF症候群(内側縦束症候群)は、脳幹の内側縦束(MLF)の障害により、側方注視時に患側の眼球が内転できず、健側の外転眼に解離性眼振が生じる眼球運動障害である。輻輳(寄り目)は保たれるのが特徴である。
多発性硬化症は、中枢神経系(脳、脊髄、視神経)の白質に多発性の脱髄斑が生じる自己免疫疾患である。「空間的・時間的多発(様々な部位の症状が再発と寛解を繰り返す)」を特徴とし、ウートフ徴候や髄液のオリゴクローナルバンド陽性が国試で頻出である。
脳ヘルニアは、頭蓋内圧亢進により、脳組織が本来の区画から別の区画へ押し出される致死的な病態である。テント切痕ヘルニア(鉤ヘルニアなど)や大後頭孔ヘルニア(小脳扁桃ヘルニア)が代表的で、瞳孔異常や呼吸停止をきたす。