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気管支拡張症は、繰り返す気道感染や炎症により気管支壁が破壊され、非可逆的に拡張する慢性気道疾患である。多量の膿性痰と血痰(喀血)が特徴であり、CT検査での「印環細胞サイン(signet-ring sign)」や「軌道状陰影(tram-line shadow)」が国試で頻出である。
呼吸器症状:慢性咳嗽、多量の膿性痰(起床時や体位変換時に喀出されやすい。放置すると3層に分離する)、血痰・喀血。
身体所見:水泡音(coarse crackles)、ばち指(慢性的な低酸素血症による)。
※進行すると労作時息切れ(閉塞性・拘束性の混合性換気障害)や肺性心(右心不全)をきたす。
初期評価
長引く湿性咳嗽、多量の膿性痰、喀血のエピソードから疑う。
検査
胸部高分解能CT(HRCT)が確定診断に必須。『signet-ring sign(気管支内径が伴行する肺動脈径よりも大きい)』や『tram-line shadow』、『嚢胞状陰影』などの気管支拡張所見を確認する。
原因菌特定のため『喀痰培養・塗抹検査(緑膿菌、インフルエンザ菌、非結核性抗酸菌など)』を繰り返し行う。
治療方針
根治させる内科的治療はなく、気道クリアランスの改善と感染のコントロールが主体となる。
①保存的治療:『体位ドレナージ(痰が排出しやすい姿勢をとる)』や去痰薬の投与。急性増悪時(発熱や痰の増量時)には原因菌に合わせた抗菌薬を使用する。慢性期の炎症コントロールとして『マクロライド系抗菌薬の少量長期投与(エリスロマイシンやクラリスロマイシンなど)』が有効な場合がある。
②外科的・インターベンション治療:大量の喀血を繰り返す場合には『気管支動脈塞栓術(BAE)』を行う。病変が1つの肺葉に限局しており内科的治療に抵抗する場合は、肺葉切除術を検討する。
病態
気道感染などを契機に気管支壁(平滑筋、軟骨、弾性線維)が破壊され、気管支が不可逆的に拡張する。拡張した部位には分泌物(痰)が貯留しやすくなり、そこで細菌が繁殖してさらに感染・炎症を繰り返すという悪循環(vicious cycle)に陥る。
試験・臨床での重要ポイント
「毎朝の多量の膿性痰」や「繰り返す血痰・喀血」のエピソードが超定番。聴診では痰が絡む音である『水泡音(coarse crackles)』が聴取される。画像(HRCT)の所見が最大のキーワードであり、拡張した気管支と伴行する肺動脈が指輪のように見える『signet-ring sign(印環細胞サイン)』や、肥厚した気管支壁が平行に走る『tram-line shadow(軌道状陰影)』が絶対暗記項目。
原因疾患の鑑別も重要であり、副鼻腔炎・内臓逆位を合併する『Kartagener(カルタゲナー)症候群』や、マクロライド少量長期投与が著効する『びまん性汎細気管支炎(DPB)』、非結核性抗酸菌症(NTM)、アレルギー性気管支肺真菌症(ABPA)などを念頭に置く。
覚え方・コツ
「気管支拡張症は『気管支がガバガバになって痰のプールができる』病気!痰がとにかく多くて、壁がもろいから血(血痰・喀血)も出やすい。息を吸うとブクブク音(水泡音)がする。CTで見ると気管支が『指輪(印環サイン)』や『線路(トラムライン)』みたいに太くなっている!カルタゲナー症候群(内臓逆位・蓄膿)もセットで探せ!」
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I型呼吸不全は、動脈血酸素分圧(PaO2)が60Torr以下に低下しているが、二酸化炭素分圧(PaCO2)は正常または低下(45Torr以下)している状態。主に肺の実質や間質の障害による「酸素化障害」が原因である。
II型呼吸不全は、PaO2が60Torr以下に低下し、かつPaCO2が45Torrを超えて蓄積している状態。気道の閉塞や呼吸筋の低下による「肺胞換気量の低下(息が十分に吐き出せない、吸い込めない)」が主な原因である。
嚢胞性線維症(CF)は、CFTR遺伝子の異常により全身の外分泌腺の分泌液が異常に粘稠となる常染色体潜性(劣性)遺伝疾患である。白人に多く日本人には極めて稀。気道感染の反復による呼吸不全と、膵外分泌不全による消化・吸収不良が二大症状となる。
CO2ナルコーシスは、慢性的に高CO2血症がある患者(主に重症COPD)に対し、不適切に高濃度の酸素を投与した結果、呼吸中枢が抑制されてさらにCO2が蓄積し、重篤な意識障害や呼吸停止に陥る医原性の病態である。