最終更新日: 2026年10月27日
DILIは、医薬品や健康食品などに関連して肝障害を生じる病態である。服用中の薬があるという理由だけで決めず、時間関係と他の原因の除外を組み合わせて評価する。
薬物や代謝物による直接的な傷害に加え、個人の代謝・免疫などが関係する特異体質性の反応がある。肝細胞傷害、胆汁うっ滞、混合型などをとり、同じ薬でも現れ方が一様とは限らない。処方薬だけでなく、市販薬、漢方、サプリメント、健康食品も確認する。
ALTとALPの上昇を、それぞれ施設の基準上限で割って比較するR比が病型整理に用いられる。上昇した実測値をそのまま割るのではない。病型の分類は原因薬剤の同定そのものではなく、評価の入口である。
倦怠感、食欲低下、悪心、黄疸、かゆみなどを認めることがあるが、採血で初めて見つかる例もある。発熱や発疹があれば薬剤反応の参考になるが、ないことは除外根拠にならない。意識変容や出血傾向、PTの悪化などは重症化を考える所見である。
すべての薬剤の開始日、増量、中止、再使用と、症状・検査値の推移を並べる。ウイルス性肝炎、自己免疫性肝炎、胆道閉塞、虚血などを鑑別する。HBV再活性化を薬物そのものの肝毒性と取り違えない。
薬剤中止後の改善は参考になるが、単独で確定しない。薬剤リンパ球刺激試験などの補助検査にも限界があり、陰性でも否定、陽性でも確定とはしない。診断のために原因候補薬を安易に再投与することは危険である。
原因候補薬の中止や代替薬を検討し、重症度と病型に応じて対応する。複数の治療薬が必要な患者では、原疾患の悪化と中止の危険も含めて医療者が判断する。重症の肝不全では専門施設での管理が必要になる。
肝障害ならすべて同じ肝庇護薬やステロイドで治療する、という理解は適切ではない。症状、ビリルビン、PTなどの推移を追い、肝細胞傷害の数値だけで回復を判断しない。
ALTが基準上限の10倍、ALPが2倍ならR比は5で、肝細胞障害型の分類に相当する。ALTが低下してもビリルビンが増え、PTが悪化していれば、単純な改善とはいえない。薬の時間関係、傷害の型、予備能の変化の三つを分けて記録する。
HBV再活性化は、免疫抑制などを背景にHBVの増殖が再び活発になる病態である。HBs抗原陽性者だけでなく、HBs抗原陰性の既往感染者でも起こりうる。
バセドウ病は、TSH受容体を刺激する自己抗体により甲状腺ホルモンの産生・分泌が増える自己免疫疾患である。甲状腺中毒症の原因の一つで、破壊性甲状腺炎とは機序と治療が異なる。
SBPは、腹水に細菌感染を生じ、消化管穿孔など明らかな外科的感染源を認めない腹膜炎である。肝硬変などの腹水患者で、腹痛が軽くても感染の可能性を考える。
下部消化管出血は、主に大腸・直腸・肛門からの出血を指し、血便や暗赤色便として現れる。便の色だけで出血源は確定できず、大量の上部消化管出血でも血便を呈することがある。
医療系学生向けの学習情報を編集・提供しています。