最終更新日: 2026年10月27日
SBPは、腹水に細菌感染を生じ、消化管穿孔など明らかな外科的感染源を認めない腹膜炎である。肝硬変などの腹水患者で、腹痛が軽くても感染の可能性を考える。
肝硬変では免疫や腸管バリア、腸内細菌の移行などの変化が感染の危険に関係する。腹水中で感染が成立すると、肝・腎機能や循環が急に悪化する場合がある。「腹水が増えた」という量の問題と、「腹水が感染した」という問題を分けて考える。
SBPと、穿孔や膿瘍などに伴う二次性腹膜炎では、感染源への対応が異なる。腹水感染を認めたときに、外科的病変を検討せずSBPと決めつけない。
発熱、腹痛、圧痛、下痢、倦怠感などを認めることがある。症状が目立たず、肝性脳症の悪化、腎機能悪化、低血圧として現れることもある。高齢者や重症肝硬変では発熱がないことだけで感染を否定できない。普段の意識、食事、尿量との違いが手掛かりになる。
腹水穿刺で好中球数と培養などを評価する。腹水の多形核白血球数250/μL以上は、腹水感染を判断する重要な基準である。培養陰性でも細胞数と臨床像から治療が必要になる場合がある。培養結果を待つことと治療を保留することは同じではない。
腹水所見、検出菌、画像、臨床経過から二次性腹膜炎も検討する。SAAGは門脈圧亢進の関与を考える指標であり、感染の判定に用いる好中球数の代わりにはならない。検体の採取と提出手順も結果に影響する。
適切な抗菌薬を早期に用い、循環、腎機能、肝機能を評価する。薬剤選択は市中発症か院内発症か、耐性菌の危険、既使用薬などで変わる。病態に応じたアルブミン投与なども検討する。すべての腹水患者に同じ治療を行うわけではない。
反応が乏しい場合は、耐性菌、投与量、二次性腹膜炎、他の感染巣などを再評価する。既往や危険に応じて再発予防を検討するが、抗菌薬の漫然投与を避けるため、適応と耐性の問題も確認する。
腹水のある肝硬変患者が眠気と尿量低下を示したとする。腹痛が強くなくても、感染、消化管出血、薬剤、脱水などを検討する。腹水好中球数と培養は感染の問いに、アルブミン差は腹水の成り立ちの問いに答える検査として使い分ける。
肝硬変は、慢性の肝障害によって線維化と再生結節が生じ、肝の構造と機能が変化した状態である。肝細胞の機能低下と門脈圧亢進を分けると、症状・検査・合併症を整理しやすい。
敗血症は、感染に対する生体反応の調節が破綻し、生命を脅かす臓器障害を生じる病態である。発熱やCRP高値、菌血症と同義ではなく、感染の疑いと臓器機能の変化を合わせて認識する。
HBV再活性化は、免疫抑制などを背景にHBVの増殖が再び活発になる病態である。HBs抗原陽性者だけでなく、HBs抗原陰性の既往感染者でも起こりうる。
DILIは、医薬品や健康食品などに関連して肝障害を生じる病態である。服用中の薬があるという理由だけで決めず、時間関係と他の原因の除外を組み合わせて評価する。
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