医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
多発性硬化症は、中枢神経系(脳、脊髄、視神経)の白質に多発性の脱髄斑が生じる自己免疫疾患である。「空間的・時間的多発(様々な部位の症状が再発と寛解を繰り返す)」を特徴とし、ウートフ徴候や髄液のオリゴクローナルバンド陽性が国試で頻出である。
視器症状:急激な視力低下、中心暗点(球後視神経炎による)、複視(MLF症候群)
運動・感覚障害:痙性麻痺、脱力、しびれ、感覚鈍麻、痛覚異常
小脳・脳幹症状:企図振戦、眼振、断綴性言語(これらをCharcotの三徴と呼ぶ)、嚥下障害
自律神経症状:膀胱直腸障害(頻尿、尿失禁など)
その他:Uhthoff徴候、Lhermitte徴候、有痛性強直性痙攣
初期評価
若年女性における、再発と寛解を繰り返す多彩な神経症状(視力障害と運動麻痺の組み合わせなど)から疑う。
検査
頭部・脊髄MRI(T2強調やFLAIR)で白質の『多発性高信号病変(脱髄斑)』を認める。急性期病変はガドリニウムで造影増強される。
髄液検査で『オリゴクローナルバンド陽性』『IgG index上昇』を確認する。
血液検査で抗AQP4抗体を測定し、視神経脊髄炎(NMO)を除外する(MSでは陰性)。
急性期治療(再発時)
『副腎皮質ステロイドのパルス療法(メチルプレドニゾロン大量点滴)』を行う。ステロイドに抵抗性の重症例には血漿交換療法(PE)を行う。
寛解期治療(再発予防)
疾患修飾薬(DMD)を用いて再発を予防し、進行を遅らせる。第一選択薬としてインターフェロンβ(IFN-β)、グラチラマー酢酸塩、フィンゴリモド、フマル酸ジメチル、ナタリズマブなどがある。※IFN-βはNMOには悪化させるため禁忌である。
病態
自己免疫機序により、中枢神経のミエリン(髄鞘)が破壊される脱髄疾患。末梢神経は障害されない。
試験・臨床での重要ポイント
若年〜中年の女性に多い。最大のキーワードは『時間的・空間的多発(再発・寛解を繰り返し、中枢神経の様々な部位がランダムにやられる)』ことである。
特有の所見として、体温上昇(入浴や運動)によって症状が悪化する『Uhthoff(ウートフ)徴候』、頸部を前屈すると背中から下肢に電撃痛が走る『Lhermitte(レルミット)徴候』、両側性の内側縦束障害による『MLF症候群(核間性眼筋麻痺)』、および視神経炎が超頻出。
抗アクアポリン4(AQP4)抗体が陽性となる『視神経脊髄炎(NMO)』との鑑別が極めて重要であり、NMOに対してMSの再発予防薬(インターフェロンβなど)を使用すると悪化するため禁忌となる。
覚え方・コツ
「MSは『脳や脊髄のあちこち』で『何度も』電線(髄鞘)がショートする病気!お風呂で体温が上がるとショートして痺れたり見えなくなったりする(ウートフ徴候)。目(視神経炎)と眼球の動き(MLF症候群)がよくやられる。髄液検査ではオリゴクローナルバンド(IgGの帯)が出る!」
ここで読んだ内容を、AIや関連コンテンツでそのまま深掘りできます。
ウェルニッケ脳症は、ビタミンB1(チアミン)の欠乏により発症する急性の脳症。眼球運動障害、運動失調、意識障害の三徴が特徴であり、アルコール依存症や低栄養患者に好発する。不可逆的なコルサコフ症候群への移行を防ぐため、糖液投与前のビタミンB1補充が絶対原則である。
MLF症候群(内側縦束症候群)は、脳幹の内側縦束(MLF)の障害により、側方注視時に患側の眼球が内転できず、健側の外転眼に解離性眼振が生じる眼球運動障害である。輻輳(寄り目)は保たれるのが特徴である。
脳ヘルニアは、頭蓋内圧亢進により、脳組織が本来の区画から別の区画へ押し出される致死的な病態である。テント切痕ヘルニア(鉤ヘルニアなど)や大後頭孔ヘルニア(小脳扁桃ヘルニア)が代表的で、瞳孔異常や呼吸停止をきたす。
アルツハイマー型認知症は、脳内にアミロイドβやタウタンパク質が蓄積し、大脳皮質や海馬の神経細胞が脱落・萎縮することで進行性の認知機能障害をきたす疾患である。認知症の中で最も頻度が高く、近時記憶障害(物忘れ)から発症し、見当識障害や実行機能障害が進行する。