膵神経内分泌腫瘍(PanNET)は、膵臓の内分泌細胞(ランゲルハンス島など)から発生する稀な腫瘍。特定のホルモンを過剰分泌して特有の症状を呈する「機能性腫瘍」と、ホルモン症状を出さない「非機能性腫瘍」がある。MEN1(多発性内分泌腫瘍症1型)の部分症として発症することも多い。
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機能性:インスリノーマ(低血糖症状)、ガストリノーマ(難治性潰瘍・腹痛・下痢)、グルカゴノーマ(遊走性紅斑・体重減少)、VIPオーマ(大量の水様性下痢・脱水)。
非機能性:ホルモン症状はなく、腫瘍の巨大化による腹部腫瘤、腹痛、胆管圧迫による黄疸などで発見される(悪性度が高い傾向)。
血液・内分泌検査:空腹時血糖低下、インスリン・Cペプチド高値(インスリノーマ)。血中ガストリン著増(ガストリノーマ)。
画像診断(ダイナミックCT/MRI):動脈相での『早期濃染(多血性腫瘍)』。
特殊診断:超音波内視鏡(EUS)による微小腫瘍の同定・生検。ソマトスタチン受容体シンチグラフィ(オクトレオスキャン:多くのPanNETに受容体があるため集積する)。
外科的治療(第一選択):腫瘍核出術(良性・小型のインスリノーマなど)、または膵切除術+リンパ節郭清。
薬物療法(症状緩和・腫瘍増殖抑制):ソマトスタチンアナログ(オクトレオチド、ランレオチド)。
分子標的薬:切除不能進行例に対するエベロリムス(mTOR阻害薬)、スニチニブなど。PRRT(ペプチド受容体放射性核種療法)も導入されている。
病態・分類
膵癌(通常は外分泌腺由来の膵管癌)とは全く異なるおとなしい顔つきの腫瘍(血流が豊富)。
【機能性PanNETの代表例】
①『インスリノーマ』:インスリンを過剰分泌。空腹時の『低血糖(Whippleの三徴)』を起こす。良性が多く、単発。
②『ガストリノーマ』:ガストリンを過剰分泌。胃酸過多による難治性・多発性の消化性潰瘍と水様性下痢をきたす『Zollinger-Ellison(ゾリンジャー・エリソン)症候群』。
③『グルカゴノーマ』:グルカゴンを過剰分泌。『壊死性遊走性紅斑』という特有の皮膚症状と、糖尿病、口内炎。
④『VIPオーマ』:VIP(血管作動性腸管ペプチド)を過剰分泌。大量の水様性下痢、低カリウム血症、無胃酸症をきたす『WDHA症候群』。
試験・臨床での重要ポイント
各機能性腫瘍の「分泌ホルモン」と「特有の症候群」の組み合わせが国試で必ず問われる。
また、画像診断では通常の膵癌が「血流に乏しい(低吸収)」のに対し、PanNETは『血流が極めて豊富(多血性)』であるため、造影CTの動脈相で『早期濃染(白くビカッと光る)』するのが最大の鑑別点。
覚え方・コツ
「PanNETは『ホルモン工場が暴走する、血の巡りが良い(多血性)腫瘍』!低血糖で倒れたら『インスリン』、治らない潰瘍だらけなら『ガストリン』、皮膚が赤くズル剥けたら『グルカゴン』、水下痢と低カリウムで干からびたら『VIP』だ!MEN1型(副甲状腺・下垂体・膵臓に腫瘍ができる遺伝病)を見つけたら、膵臓にこいつらが潜んでいないか必ず探せ!」
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粘液水腫性昏睡は、重度の甲状腺機能低下症(橋本病など)を背景に、寒冷曝露や感染、薬剤などを契機として発症する致死的な病態である。低体温、徐脈、呼吸不全、意識障害を呈する救急疾患。
甲状腺クリーゼは、未治療またはコントロール不良の甲状腺機能亢進症(主にバセドウ病)の患者に、感染、手術、外傷などの強いストレスが加わることで発症する、致死的な甲状腺中毒症の急性増悪状態である。高熱、頻脈、意識障害をきたす超緊急疾患。
Sheehan症候群は、分娩時の大量出血に伴うショックにより、下垂体前葉が虚血・壊死に陥り、汎下垂体機能低下症をきたす疾患である。「産後の乳汁分泌停止」と「無月経」が初発症状となる。
Cushing症候群は、副腎皮質からのコルチゾール(糖質コルチコイド)の過剰分泌により、満月様顔貌(ムーンフェイス)、中心性肥満、高血圧、糖尿病など多彩な症状を呈する疾患である。原因病変の部位により、ACTH依存性とACTH非依存性に分類される。