甲状腺クリーゼは、未治療またはコントロール不良の甲状腺機能亢進症(主にバセドウ病)の患者に、感染、手術、外傷などの強いストレスが加わることで発症する、致死的な甲状腺中毒症の急性増悪状態である。高熱、頻脈、意識障害をきたす超緊急疾患。
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中枢神経症状(必須に近い):不穏、せん妄、精神異常、傾眠、昏睡。
全身症状:高熱(38.4℃以上)、著明な発汗、脱水。
循環器症状:頻脈(130/分以上)、心房細動、心不全、ショック。
消化器症状:激しい下痢、悪心・嘔吐、黄疸。
診断基準:甲状腺機能亢進症の存在(FT3, FT4高値、TSH低値)を前提とし、中枢神経症状、高熱、頻脈、心不全、消化器症状の組み合わせでスコアリングし「確実」または「疑い」と診断する。
※ホルモンの絶対値の高さは、必ずしもクリーゼの重症度と相関しない。
初期治療のフルパッケージ(ICU管理):
①『無機ヨウ素(ルゴール液、ヨウ化カリウム)』:甲状腺ホルモンの放出を即座にブロックする。
②『抗甲状腺薬(プロピルチオウラシル:PTU、またはチアマゾール)』:ホルモン合成を阻害(PTUはT4からT3への変換も阻害するため好まれる)。
③『β遮断薬(プロプラノロールなど)』:頻脈と交感神経過緊張の抑制。
④『副腎皮質ステロイド静注』:相対的副腎不全の予防とホルモン変換の阻害。
⑤全身管理:大量補液(脱水補正)、物理的冷却(解熱)、感染症の治療。
病態
血中の甲状腺ホルモン(FT3, FT4)が極度に上昇し、全身の交感神経が暴走状態となることで、多臓器不全に至る。
試験・臨床での重要ポイント
『バセドウ病の既往・治療中断』や『感染症・手術などの誘因』が必須のエピソード。
診断のクライテリアとして、①『38.4℃以上の高熱』、②『著明な頻脈(130回/分以上、または心房細動)』、③『中枢神経症状(不穏、せん妄、昏睡)』、④消化器症状(下痢、黄疸)、⑤心不全症状の組み合わせが重要。
治療は一刻を争い、ホルモン合成を止める『無機ヨウ素(ルゴール液)』と『抗甲状腺薬(PTUなど)』、交感神経の暴走を抑える『β遮断薬』、相対的副腎不全を防ぐ『ステロイド』を矢継ぎ早に投与する。
覚え方・コツ
「甲状腺クリーゼは『バセドウ病のエンジンの大暴走(超緊急)』!風邪や手術のストレスが引き金になり、高熱が出て、心臓が爆速で打ち(頻脈・心房細動)、頭がおかしくなる(意識障害)。放っておくと死ぬ!治療のフルコースは『ヨウ素・PTU・βブロッカー・ステロイド』の4点セットを即座にぶち込め!」
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中枢性尿崩症は、視床下部・下垂体後葉の障害により、抗利尿ホルモン(ADH:バソプレシン)の合成・分泌が低下し、腎臓での水分再吸収ができなくなることで多尿と多飲をきたす疾患である。
甲状腺乳頭癌は、甲状腺悪性腫瘍の大部分(約90%)を占める癌。進行が極めて緩徐で、10年生存率が90%を超えるなど予後は良好だが、若年女性にも発症しやすく、頸部リンパ節転移を高率にきたす。細胞診での「すりガラス状核」が確定診断の鍵となる。
下垂体腺腫は、下垂体前葉細胞から発生する良性腫瘍。ホルモンを過剰分泌する「機能性腺腫」と、分泌しない「非機能性腺腫」がある。機能性の中で最も頻度が高いのがプロラクチン産生腫瘍(プロラクチノーマ)であり、無月経・乳汁漏出症候群をきたす。
ビタミンDの欠乏により、腸管からのカルシウム(Ca)とリン(P)の吸収が低下し、骨の石灰化(ミネラル沈着)が障害される疾患。成長軟骨線(骨端線)が閉鎖する前の小児期に発症するものを「くる病」、閉鎖後の成人期に発症するものを「骨軟化症」と呼ぶ。