アセトアミノフェンは解熱・鎮痛作用を持ち、末梢抗炎症作用が弱い非オピオイド鎮痛薬である。小児や高齢者にも広く用いられるが、過量時の肝障害に注意する。
アセトアミノフェン
中枢神経系におけるプロスタグランジン産生抑制などを介して、視床下部の体温調節中枢と疼痛伝達系へ作用すると考えられている。末梢炎症組織でのCOX阻害作用は弱く、NSAIDsのような強い抗炎症作用や血小板凝集抑制作用はほとんど示さない。肝で主にグルクロン酸抱合と硫酸抱合を受けるが、一部はCYP2E1などにより反応性代謝物NAPQIへ変換される。通常はグルタチオンにより無毒化されるが、過量時にはグルタチオンが枯渇し、NAPQIが肝細胞蛋白へ結合して中心静脈域壊死を起こす。
頭痛、歯痛、筋肉痛、術後痛、がん疼痛の補助、発熱などに用いられる。小児の発熱・疼痛では体重に基づいて投与し、通常は1回10~15mg/kg、4~6時間以上の間隔を空ける。NSAIDsで胃腸障害、腎機能悪化、喘息発作などが懸念される患者でも選択されることがある。炎症を伴う疾患では抗炎症作用が弱いため、治療目的に応じてNSAIDsと使い分ける。配合感冒薬や鎮痛薬にも含まれるため、総投与量を確認する。
治療量では胃腸障害や腎障害が比較的少ないが、悪心、発疹、肝機能異常を起こすことがある。重篤な副作用として劇症肝炎、急性肝不全、Stevens-Johnson症候群、中毒性表皮壊死症、アナフィラキシー、間質性肺炎、急性腎障害、血球減少がある。過量摂取後早期は悪心、嘔吐、発汗など非特異的症状のみで、一時的に無症状となった後、肝障害が進行することがある。血中濃度と服用時刻を確認し、早期にN-アセチルシステインを投与する。
長期間の反復投与ではワルファリンの抗凝固作用を増強し、INRを上昇させることがある。大量飲酒やCYP2E1誘導によりNAPQI生成が増加し、低栄養や絶食ではグルタチオンが低下する。カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタール、リファンピシンなどの酵素誘導薬使用中は肝障害に注意する。配合感冒薬、トラマドール・アセトアミノフェン配合剤などとの重複が過量の主要原因となる。
本剤に対する過敏症の既往、重篤な肝障害がある患者には投与しない。大量飲酒、低栄養、絶食、脱水、慢性肝疾患、酵素誘導薬使用中では、治療量に近い投与でも肝障害リスクが高まるため慎重に使用する。重篤な腎障害や血液異常では全身状態をみながら用量を判断する。複数のアセトアミノフェン含有製剤を同時に使用しない。
NSAIDsと異なり末梢抗炎症作用と血小板抑制作用が弱く、胃粘膜・腎血流への影響も比較的少ない。過量時にはNAPQIが蓄積して肝壊死を起こし、解毒薬はN-アセチルシステインである。小児は体重換算で投与し、配合薬を含めた1日総量を確認する。大量飲酒、絶食、低栄養、酵素誘導薬は肝障害リスクを高める。([PMDA][8])
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。