パルスオキシメトリは、指先などに光を当て、動脈血の酸素飽和度を非侵襲的に推定する検査です。低酸素の発見や経過観察に役立ちますが、二酸化炭素、ヘモグロビン量、組織への酸素供給を直接測っているわけではありません。
最終更新日: 2026年10月27日
パルスオキシメトリは、指先などに光を当て、動脈血の酸素飽和度を非侵襲的に推定する検査です。低酸素の発見や経過観察に役立ちますが、二酸化炭素、ヘモグロビン量、組織への酸素供給を直接測っているわけではありません。
生理検査
酸素化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンで光の吸収が異なることを利用し、拍動する成分から動脈血酸素飽和度を推定します。表示値がSpO₂です。採血を繰り返さず連続的に確認できるため、安静・歩行時の酸素化や酸素療法中の観察に使われます。
測っているのは、ヘモグロビンのうち酸素を結合している割合です。PaO₂という酸素分圧や、血液1dLが運べる酸素の総量とは違います。貧血ではSpO₂が同じでも運べる酸素は少なく、心拍出量が低ければ組織への酸素供給も不足し得ます。数値が良いことを全身状態が良いことと同じに扱わないのが基本です。
健常な成人の安静・室内気では一般に96〜99%程度が参考になりますが、年齢、基礎疾患、標高などで変わります。個人の普段の値と処方された目標値を確認します。すべての患者を同じ数値まで酸素化すればよいというわけではありません。
酸素投与中はデバイスと流量、安静時か運動中か、測定部位などを記録します。SpO₂が同じ96%でも、室内気と酸素投与中では意味が異なります。慢性呼吸不全などの患者では、指示された目標範囲に沿って管理し、表示値だけを見て自己判断で酸素流量を変えません。
まず患者の呼吸状態や意識、脈拍を見て、表示値と一致するか確かめます。手指の冷え、末梢循環不良、体動、装着不良、マニキュアなどで測定が不安定になります。脈波の表示や、表示脈拍と実際の脈拍が合うかも確認します。値が安定する前の一瞬の数字だけで評価しません。
一般的な装置では一酸化炭素ヘモグロビンなどの影響を正しく区別できず、酸素化を過大評価する場合があります。一酸化炭素中毒が疑われる病歴では、SpO₂が正常でも否定できません。重い貧血や循環不全もSpO₂だけでは分からない点を押さえます。
SpO₂はPaCO₂を測定しません。酸素投与で飽和度が保たれていても、低換気でCO₂が蓄積することがあります。傾眠や呼吸の変化があれば血液ガスなどを含む評価が必要です。「酸素化が保たれている」と「換気が十分」を分けて説明します。
学習例:歩行中にSpO₂が低下した場合は、体動による誤差を確認しながら、息切れや脈拍、回復までの時間、酸素条件を記録します。安静時だけ正常だから運動時も問題ない、とは判断できません。
①飽和度と分圧、②飽和度と酸素含量、③酸素化と換気の三つの違いを説明できることが大切です。SpO₂は便利な観察指標ですが、意識状態、呼吸数、呼吸努力、循環、皮膚の状態と一緒に読みます。
胸痛や強い呼吸困難がある人に、表示値が正常だから大丈夫と伝えないようにします。呼吸困難は自覚症状であり、SpO₂の低下と必ず一致しません。測定できないときも、それが機器の問題なのか末梢循環が悪いのかを考えます。
記録例は「室内気・安静座位、右示指、波形安定後SpO₂97%、脈拍80/分」のように条件を含めます。同じ患者を経時的に比較する際は、酸素流量や運動負荷が変わっていないかを確認すると、単なる数字の列より状態の変化が読みやすくなります。
表示が100%でも、酸素をどれだけ多く与えているかは分かりません。高濃度酸素投与下では肺のガス交換が悪くても高い値を示す場合があり、酸素条件を併記しなければ重症度を比較できません。また、酸素解離曲線の上部では、PaO₂が変わっても飽和度の変化が小さいため、SpO₂からPaO₂の正確な値は求められません。
在宅や実習でも、一瞬の測定を増やすことより、指示された条件で正しく測り、異常時に症状と合わせて相談することが重要です。患者が普段より苦しそうな場合に、機器の数値を出し直すことだけに時間を費やさないようにします。
参考資料 日本呼吸器学会「よくわかるパルスオキシメータ」(2021) 米国国立医学図書館MedlinePlus「Arterial Blood Gas (ABG) Test」(2025)
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