スパイロメトリーは肺活量や1秒量などを測り、空気の出し入れの障害を調べる検査です。閉塞性と拘束性の換気障害を考える入口になります。十分に吸って吐けたかという検査の質を確認し、1秒率と%1秒量を区別して読みます。
最終更新日: 2026年10月27日
スパイロメトリーは肺活量や1秒量などを測り、空気の出し入れの障害を調べる検査です。閉塞性と拘束性の換気障害を考える入口になります。十分に吸って吐けたかという検査の質を確認し、1秒率と%1秒量を区別して読みます。
生理検査
肺活量(VC)は最大吸気位と最大呼気位の間で出し入れできる空気の量です。努力肺活量(FVC)は最大に吸った後、できるだけ強く速く最後まで吐いた量、1秒量(FEV₁)はその最初の1秒間に吐いた量です。1秒率はFEV₁/FVC×100で、吐き出す速さが全体の量に対してどの程度かを表します。
主に喘息やCOPDなどの閉塞性障害の評価、肺活量低下の把握、治療前後の変化の確認に使います。肺の酸素交換能力そのものを測る検査ではないため、SpO₂や肺拡散能とは役割が異なります。スパイロメトリーだけでは残気量や全肺気量を直接測れないことも重要です。
教科書的な整理では1秒率70%未満が閉塞性障害、%肺活量80%未満が拘束性障害を疑う目安として使われます。ただし実際の解釈では年齢などに基づく正常下限、測定の質、症状、疾患ごとの診断基準を考慮します。固定した70%の閾値だけでは、高齢者や若年者での分類に限界があります。
%1秒量はFEV₁を年齢・身長・性別などから予測した値と比較した割合で、FEV₁/FVCである1秒率とは違います。予測式が違うと%値も変わるため、異なる施設や過去の報告を比較するときは条件を確認します。
閉塞性では空気を速く吐くことが難しく、1秒量や1秒率が低下します。肺活量が低い場合は肺や胸郭が広がりにくい病態、呼吸筋の弱さなどを考えますが、息を十分吸えていない・最後まで吐けていない場合も低値になります。結果を疾患名に直結させる前に、検査が適切にできたかを確認します。
閉塞が強いと空気が肺に残るため、FVCが低下して拘束性に見えることがあります。拘束性障害の確定には全肺気量の評価が必要になる場合があります。「肺活量低下=必ず肺線維症」とはしません。
気管支拡張薬の吸入前後で測定し、変化を調べることがあります。反応の大きさは喘息などの診断を支える情報ですが、反応がない一回の結果だけで喘息を否定できません。COPDの診断も、喫煙などの曝露歴、症状、気管支拡張薬後の持続する気流閉塞、他疾患の除外を合わせます。
学習例:FVC3.0L、FEV₁1.5Lなら1秒率は50%です。一方、予測FEV₁が2.5Lなら%1秒量は60%です。この二つを別に計算すると、1秒率と%1秒量の取り違えを防げます。
呼気の開始が遅い、咳が入る、息漏れがある、早く吐くのをやめるといった要因で、結果が変わります。検査者の説明と被検者の協力が重要な検査です。再現性を確認し、値だけでなくフローボリューム曲線なども読みます。
復習ではVC、FVC、FEV₁、FEV₁/FVC、予測値に対する%値を表にして、それぞれ「量」「最初の1秒で吐き出せた量の割合」「予測値との比較」のどれかを区別します。喘息やCOPDの患者で、息切れの程度とスパイロメトリーが完全に一致するとは限りません。呼吸困難には心疾患、貧血、運動耐容能なども関わるため、検査結果を患者の全体像へ戻して考えます。
例えば肺活量も1秒量も小さい患者では、1秒率だけが正常に見えることがあります。分子と分母がともに減っている場合、割合が保たれていても肺の働きが正常とは限りません。逆に1秒率の低下がある場合も、その値だけから息切れのすべてを説明しようとせず、他の情報を確認します。
フローボリューム曲線では、数値の一覧だけでは分かりにくい呼出の形や検査の不適切さを確認できます。検査結果を記録するときは、気管支拡張薬の前後、検査に協力できたか、再現性はどうだったかを残します。呼吸機能検査の数字を読むことと、検査の質を評価することは一組です。
閉塞性と拘束性が重なる病態もあります。呼吸機能検査は疾患名を自動的に決めるものではなく、問診、診察、画像、必要な追加検査と合わせ、どの生理機能が障害されているかを説明するために使います。
参考資料 日本呼吸器学会「肺機能検査とはどのような検査法ですか?」 日本呼吸器学会「日本人のスパイログラム基準値に関するステートメント」(2016)
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