日光角化症は、長年の紫外線曝露によって生じる表皮内癌(有棘細胞癌の初期段階・前癌病変)である。高齢者の顔面や手背など露光部に好発し、放置すると浸潤性の有棘細胞癌(SCC)に進行する可能性がある。
最終更新日: 2026年4月24日
日光角化症は、長年の紫外線曝露によって生じる表皮内癌(有棘細胞癌の初期段階・前癌病変)である。高齢者の顔面や手背など露光部に好発し、放置すると浸潤性の有棘細胞癌(SCC)に進行する可能性がある。
好発部位:顔面、耳介、頭部(脱毛部)、手背、前腕などの露光部。
皮疹:表面がざらざらした(角化性の)紅斑、または淡紅褐色〜黒褐色の斑状病変。痂皮(かさぶた)を伴うことが多く、無理に剥がすと出血する。
※通常、自覚症状(痛みやかゆみ)はない。
初期評価
高齢者の露光部に生じた、ステロイド外用等で改善しない難治性の角化性紅斑から強く疑う。
検査
ダーモスコピーで特徴的な所見(イチゴ様パターン:赤色偽網目状構造と毛包開口部の角栓)を確認する。
確定診断は『皮膚生検』であり、表皮基底層〜下層における異型細胞の増殖(基底膜は越えない=浸潤はない)、錯角化(不全角化)、真皮上層の『日光弾力線維変性』を証明する。
治療方針
病変の数や状態に応じて選択する。
①少数・単発の病変:『液体窒素による凍結療法』、または『外科的切除』。
②多発例・広範囲(目に見えない予備軍を含めた面としての広がり:field cancerization):『イミキモドクリーム(免疫応答を賦活化して腫瘍を排除する外用薬)』や、5-FU軟膏の外用が第一選択となる。
病態
長期間の紫外線曝露(累積紫外線量)により、表皮の角化細胞(ケラチノサイト)のDNAが損傷・変異して発生する。ガン細胞は表皮内にとどまっており、この段階では転移の危険はない。
試験・臨床での重要ポイント
「農業や漁業などに従事していた高齢者(長年の紫外線曝露)」の「顔面、頭部(禿頭部)、手背(露光部)」に、「ざらざらした紅斑(角化性病変)」があるというエピソードが超定番。
日光角化症は『有棘細胞癌(SCC)の前癌病変(表皮内癌)』であることが国試やCBTで頻出である。病理組織では、表皮下層の異型細胞増生や、真皮の『日光弾力線維変性(solar elastosis:紫外線による真皮コラーゲンの変性)』を認める。多発例の治療薬として『イミキモドクリーム』が頻出。
覚え方・コツ
「日光角化症は『太陽の浴びすぎでできた有棘細胞癌の赤ちゃん(前癌病変)』!おじいちゃんの顔や手の甲にできた、カサブタみたいで『ざらざら』した赤いシミ。放っておくと本格的なガン(有棘細胞癌)になって深く根を張る。液体窒素で焼くか、イミキモドの塗り薬で治す!」
晩発性皮膚ポルフィリン症は、ヘム生合成経路の酵素異常により、光過敏性物質であるポルフィリンが体内に蓄積する代謝疾患。C型肝炎や多量飲酒を背景に中高年で発症し、日光露光部(手背や顔面)の水疱・びらんや、尿の赤色化を特徴とする。
アトピー性皮膚炎は、増悪と軽快を繰り返す瘙痒(かゆみ)のある湿疹を主病変とする疾患。皮膚のバリア機能異常と、アトピー素因(IgE抗体を産生しやすい体質やアレルギー疾患の家族歴)が背景にある。
帯状疱疹後神経痛は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)による帯状疱疹の皮疹が治癒した後も、3ヶ月以上にわたって持続する難治性の神経痛。高齢者に多く、焼けるような痛みや電撃痛を特徴とする。
ダリエー病は、ATP2A2遺伝子変異により、表皮細胞間の結合が弱まる(棘融解)とともに異常な角化(ジスケラトーシス)を生じる常染色体顕性(優性)遺伝疾患。脂漏部位(胸・背中・頭皮)に多発する悪臭を伴う角化性丘疹が特徴。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。