アラン・ハーンデン症候群は、甲状腺ホルモンを脳内へ運ぶトランスポーター(MCT8)の遺伝子変異によるX連鎖潜性遺伝疾患である。男児に発症し、重度の精神運動発達遅滞と筋緊張異常、末梢の甲状腺中毒症状を呈する。
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中枢神経症状:重度の精神運動発達遅滞、体幹の筋緊張低下(首すわり不良)、四肢の痙縮・ジストニアなどの錐体外路症状。
末梢の甲状腺中毒症状:頻脈、発汗過多、筋肉量減少、体重増加不良。
初期評価
筋緊張異常を伴う発達遅滞男児において、頻脈ややせを認めた場合に血中甲状腺ホルモンを評価する。
検査
血液検査で特有のプロファイル(FT3高値、FT4低値〜正常、TSH正常〜軽度上昇)を確認。確定診断はSLC16A2遺伝子の変異解析。
治療
根本的治療法は未確立。中枢神経症状へのリハビリテーションや、末梢の甲状腺中毒症状を和らげる薬物療法(抗甲状腺薬やβ遮断薬)が行われる。現在、MCT8を介さずに脳内へ移行できる甲状腺ホルモンアナログ(TRIACなど)の臨床治験が進められている。
病態
X染色体上にあるSLC16A2遺伝子(MCT8をコードする)の変異が原因。血中から血液脳関門を越えて脳内へ甲状腺ホルモン(T3)を取り込めなくなる。そのため、脳内は「甲状腺ホルモン低下」状態となり重度の中枢神経障害を起こす一方、血中にダブついたT3により、末梢臓器(心臓や筋肉)は「甲状腺ホルモン過剰(中毒)」状態となる特殊な病態である。
試験・臨床での重要ポイント
「重度の知的障害・運動障害」と「頻脈や体重増加不良(甲状腺中毒症状)」が混在する男児で疑う。血液検査での特異な甲状腺ホルモンパターン(『遊離T3高値』かつ『遊離T4低値〜正常』、TSH正常〜軽度上昇)が診断の決め手となる。
覚え方・コツ
「アラン・ハーンデンは、脳への甲状腺ホルモン(T3)の運び屋(MCT8)がサボる病気!脳はT3不足で発達できず(重度知的・運動障害)、血中に余ったT3のせいで体はバクバク・痩せる(甲状腺中毒)。血中の『T3だけが高い』のが目印!」
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TRAPSは、TNF(腫瘍壊死因子)受容体の遺伝子変異により、病原体の感染がないのに自然免疫が暴走して長期間の発熱を繰り返す「自己炎症性疾患」。1週間以上続く発熱、遊走性の筋肉痛、眼周囲の浮腫を特徴とする。
新生児低血糖は、生後早期の新生児において血糖値が異常に低下した状態。脳のエネルギー源が枯渇するため、放置すると不可逆的な中枢神経障害(発達遅滞や脳性麻痺)を残す。母体糖尿病やFGR、早産児がハイリスクとなる。
大動脈縮窄症(CoA)は、大動脈の一部(多くは動脈管索付近)が先天的に狭くなっている疾患である。狭窄部より上(腕・頭)は高血圧となり、下(下肢)は血流低下をきたす「上下肢の血圧差」が最大の特徴。Turner症候群に高率に合併する。
プラダー・ウィリー症候群は、15番染色体長腕(15q11-q13)の「父親由来」の発現異常(ゲノムインプリンティング異常)による疾患。乳児期の重度筋緊張低下から一転し、幼児期以降は満腹中枢の異常による過食と高度肥満を呈する。