筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、大脳皮質から脊髄にかけての上位運動ニューロンと下位運動ニューロンが選択的に進行性に変性・脱落する指定難病である。全身の筋力低下や筋萎縮、球麻痺症状を特徴とし、最終的に呼吸筋麻痺に至る。CBTや医師国家試験の神経分野で毎年問われる超頻出疾患である。
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手足の筋力低下・筋萎縮(遠位筋から始まることが多い)
線維束性収縮(筋肉がピクピクと動く)
球麻痺(構音障害、嚥下障害、舌の萎縮と線維束性収縮)
呼吸困難(進行期の呼吸筋麻痺による)
上位運動ニューロン徴候(病的反射陽性、痙縮)
初期評価
神経診察で上位運動ニューロン徴候(腱反射亢進、病的反射陽性)と下位運動ニューロン徴候(筋萎縮、線維束性収縮)の混在を確認する。同時に感覚障害がないこと(陰性四徴)を確認する。
検査
針筋電図が必須であり、神経原性変化(安静時自発電位、巨大電位)を確認する。頭部・脊髄MRIを行い、他の器質的疾患(頸椎症など)を除外する。
鑑別
頸椎症性脊髄症(感覚障害を伴うことが多い)、脊髄性筋萎縮症(SMA:下位運動ニューロンのみ障害)、多巣性運動ニューロパチー(MMN:伝導ブロックあり)、球脊髄性筋萎縮症(SBMA:男性のみ発症)と鑑別する。
初期対応
嚥下障害による誤嚥性肺炎や、呼吸筋麻痺による呼吸不全を予防・管理する。胃瘻造設や非侵襲的陽圧換気(NPPV)の導入タイミングを慎重に検討する。
根本治療
進行を完全に止める治療法はない。病気の進行を遅らせる目的で、リルゾール(グルタミン酸遊離抑制薬)やエダラボン(フリーラジカル消去薬)の投与を行う。並行してリハビリテーションを中心としたケアを行う。
病態
運動神経(上位および下位運動ニューロン)のみが選択的に障害され、感覚神経、自律神経、眼球運動、膀胱直腸機能などは保たれる(陰性四徴)のが特徴である。
原因
大部分は原因不明の孤発性であるが、一部に家族性(SOD1遺伝子変異など)が存在する。
分類
発症部位により、上肢から発症する普通型、球麻痺症状から発症する球型、下肢から発症する偽多発神経炎型に分類される。
試験での重要ポイント
「感覚障害がないのに進行性の筋萎縮・筋力低下と線維束性収縮(ピクつき)」があればこの疾患を疑う。上位・下位運動ニューロン障害が混在する所見(萎縮しているのに腱反射が亢進するなど)や、ALSにみられない「陰性四徴(感覚障害、眼球運動障害、膀胱直腸障害、褥瘡)」は頻出である。鑑別でよく出るのは「頸椎症性脊髄症」や「脊髄性筋萎縮症(SMA)」である。
覚え方・コツ
「ALSの陰性四徴:感覚、眼球、膀胱、褥瘡(かん・がん・ぼう・じょく)はセーフ」と覚える。
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CIDPは、自己免疫学的機序により、末梢神経のミエリン鞘(髄鞘)が慢性的に破壊(脱髄)される疾患。ギラン・バレー症候群(GBS)と類似の病態だが、2ヶ月以上かけて進行、または再発と寛解を繰り返す点で異なる。ステロイドが第一選択となる。
神経線維腫症1型(von Recklinghausen病:レックリングハウゼン病)は、第17染色体にあるがん抑制遺伝子(NF1遺伝子)の変異によって生じる常染色体顕性(優性)遺伝疾患。カフェ・オ・レ斑と多発する神経線維腫を特徴とし、全身の多彩な合併症を伴う。
三叉神経痛は、顔面の感覚を司る三叉神経(第V脳神経)が、脳幹からの出口付近で血管(主に上小脳動脈)に圧迫されることで、顔面に突発的で激しい「電撃痛」を繰り返す疾患。抗てんかん薬であるカルバマゼピンが特効薬となる。
ビタミンB1(チアミン)の欠乏により、糖代謝が障害されてATPが産生できなくなり、末梢神経障害や心不全、中枢神経障害をきたす疾患。心不全を伴う「湿性脚気」、末梢神経障害主体の「乾性脚気」、そしてアルコール依存症等に合併する中枢神経障害「Wernicke(ウェルニッケ)脳症」が有名。