抗NMDA受容体脳炎は、中枢神経のNMDA受容体に対する自己抗体が原因で、統合失調症様の急激な精神症状、けいれん、無反応覚醒、口のモゴモゴといった不随意運動を呈する自己免疫性脳炎である。若い女性に多く、卵巣奇形腫の合併が超頻出である。
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前駆症状:発熱、頭痛(感冒様症状)
精神症状:幻覚、妄想、興奮、奇異な行動、性格変化
神経症状:けいれん発作、意識障害、無反応覚醒症候群(目は開けているが反応しない)
不随意運動:口・顔面のジスキネジア(モゴモゴする)、舞踏運動
自律神経症状:中枢性低換気(人工呼吸管理が必要)、頻脈、血圧変動、発汗
初期評価
急性の精神症状と不随意運動・意識障害の進行から疑う。
検査
髄液検査または血液検査で『抗NMDA受容体抗体』の陽性を証明し確定診断とする。髄液では細胞数増加(リンパ球優位)を認める。全例で『骨盤MRIや腹部エコー』を実施し、卵巣奇形腫の有無を検索する。
治療方針
①腫瘍の摘出:卵巣奇形腫などの腫瘍が発見された場合は、速やかに外科的切除(卵巣嚢腫摘出術など)を行う。これが最も根本的な治療となる。
②免疫療法:ステロイドパルス療法、免疫グロブリン大量静注療法(IVIG)、血漿交換療法を行う。これらに不応の場合はリツキシマブやシクロホスファミドの投与を検討する。
※対症療法として、低換気に対する人工呼吸管理や、けいれんに対する抗てんかん薬投与(集中治療管理)が長期にわたり必要となることが多い。
病態
グルタミン酸受容体の一種であるNMDA受容体のNR1サブユニットに対する自己抗体が産生され、受容体機能が低下することで多彩な精神・神経症状をきたす。卵巣の奇形腫(テラトーマ)に含まれる神経組織に対する免疫反応が、脳と交差反応を起こして発症する傍腫瘍性神経症候群の側面を持つ。
試験での重要ポイント
「若い女性」が、風邪のような症状の後に「突然幻覚や妄想、異常行動(統合失調症のような精神症状)」を起こし精神科に運ばれるエピソードが定番。その後、急速に意識障害(無反応覚醒症候群)やけいれんに陥り、口をモゴモゴ・クチャクチャさせる『オーラル・ジスキネジア(不随意運動)』や自律神経異常(低換気、頻脈)を呈する。診断・治療の鍵として『骨盤MRIで卵巣奇形腫を検索し、あれば直ちに切除する』ことが絶対暗記キーワードである。
覚え方・コツ
「若い女性が急に狂ったようになり(精神症状)、口をクチャクチャさせたら(ジスキネジア)抗NMDA受容体脳炎!原因は卵巣にできた奇形腫(テラトーマ)。奇形腫が脳の抗体を作らせて暴走しているから、腹を開けて卵巣の腫瘍を切り取れば劇的に治る!」
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CIDPは、自己免疫学的機序により、末梢神経のミエリン鞘(髄鞘)が慢性的に破壊(脱髄)される疾患。ギラン・バレー症候群(GBS)と類似の病態だが、2ヶ月以上かけて進行、または再発と寛解を繰り返す点で異なる。ステロイドが第一選択となる。
神経線維腫症1型(von Recklinghausen病:レックリングハウゼン病)は、第17染色体にあるがん抑制遺伝子(NF1遺伝子)の変異によって生じる常染色体顕性(優性)遺伝疾患。カフェ・オ・レ斑と多発する神経線維腫を特徴とし、全身の多彩な合併症を伴う。
三叉神経痛は、顔面の感覚を司る三叉神経(第V脳神経)が、脳幹からの出口付近で血管(主に上小脳動脈)に圧迫されることで、顔面に突発的で激しい「電撃痛」を繰り返す疾患。抗てんかん薬であるカルバマゼピンが特効薬となる。
ビタミンB1(チアミン)の欠乏により、糖代謝が障害されてATPが産生できなくなり、末梢神経障害や心不全、中枢神経障害をきたす疾患。心不全を伴う「湿性脚気」、末梢神経障害主体の「乾性脚気」、そしてアルコール依存症等に合併する中枢神経障害「Wernicke(ウェルニッケ)脳症」が有名。