アペール症候群は、FGFR2遺伝子の変異による頭蓋縫合早期癒合症の一つである。尖頭・顔面中部低形成に加えて、手足の全指趾が癒合する重度の「複雑合指症(ミトン手)」を伴うことが最大の特徴である。
最終更新日: 2026年4月20日
アペール症候群は、FGFR2遺伝子の変異による頭蓋縫合早期癒合症の一つである。尖頭・顔面中部低形成に加えて、手足の全指趾が癒合する重度の「複雑合指症(ミトン手)」を伴うことが最大の特徴である。
頭蓋変形(尖頭、短頭など)
顔面中部の発育不全、反対咬合
眼球突出、両眼開離、下斜視(V徴候)
四肢の対称性複雑合指(趾)症(第2〜4指が癒合するミトン状手など)
知的障害(軽度〜中等度が多い)、水頭症
初期評価
出生時の特有の顔貌と、四肢の重度な合指症から直ちに疑う。
検査
頭部3D-CTで冠状縫合などの早期癒合を確認し、脳の圧迫や水頭症の有無を評価する。四肢のX線で骨の癒合状態を確認する。確定診断はFGFR2遺伝子解析。
治療方針
脳への圧迫(頭蓋内圧亢進)を防ぐため、乳児期早期に「頭蓋形成術(頭蓋骨を分割して延長する手術)」を行う。また、手先の機能を獲得するために、段階的な「合指分離術」を幼少期に複数回行う。顔面中部の低形成に対する骨延長術や、反対咬合に対する歯科矯正も長期間必要となる。
病態
線維芽細胞増殖因子受容体2(FGFR2)遺伝子の特定の変異により、胎児期に頭蓋骨の縫合線(特に冠状縫合)が早期に癒合してしまう。脳の成長に伴って頭蓋が上方に伸び(尖頭)、眼窩が浅くなるため眼球突出をきたす。
試験・臨床での重要ポイント
頭蓋縫合早期癒合症の中で、クルーゾン症候群との鑑別が超頻出である。アペール症候群の決定的な特徴は『四肢の重度な左右対称の合指(趾)症』である。複数の指の骨や軟部組織が完全にくっついており、手がミトン(手袋)のようになる『mitten hand』が有名。また、クルーゾン症候群に比べて知的障害を合併しやすい。
覚え方・コツ
「アペール症候群は『頭が尖る(尖頭)』+『手がミトン(複雑合指症)』!指が全部くっついて離れないのがクルーゾンとの絶対的な違い。脳が圧迫されるから知能障害も出やすい。頭の骨を広げて、指を切り離す手術が必要!」
TRAPSは、TNF(腫瘍壊死因子)受容体の遺伝子変異により、病原体の感染がないのに自然免疫が暴走して長期間の発熱を繰り返す「自己炎症性疾患」。1週間以上続く発熱、遊走性の筋肉痛、眼周囲の浮腫を特徴とする。
新生児低血糖は、生後早期の新生児において血糖値が異常に低下した状態。脳のエネルギー源が枯渇するため、放置すると不可逆的な中枢神経障害(発達遅滞や脳性麻痺)を残す。母体糖尿病やFGR、早産児がハイリスクとなる。
大動脈縮窄症(CoA)は、大動脈の一部(多くは動脈管索付近)が先天的に狭くなっている疾患である。狭窄部より上(腕・頭)は高血圧となり、下(下肢)は血流低下をきたす「上下肢の血圧差」が最大の特徴。Turner症候群に高率に合併する。
プラダー・ウィリー症候群は、15番染色体長腕(15q11-q13)の「父親由来」の発現異常(ゲノムインプリンティング異常)による疾患。乳児期の重度筋緊張低下から一転し、幼児期以降は満腹中枢の異常による過食と高度肥満を呈する。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。