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石綿肺は、建築業や造船業などで「アスベスト(石綿)」を長期間吸入することで生じる塵肺(間質性肺炎)の一種。下肺野優位の線維化と胸膜プラークが特徴であり、悪性胸膜中皮腫や原発性肺癌の強烈なリスクファクターとなる。
労作時息切れ、乾性咳嗽。
身体所見として、背部下肺野の捻髪音(ベルクロラ音:マジックテープを剥がすような音)、ばち指(低酸素血症による)。
体重減少や胸痛が出現した場合は、中皮腫や肺癌の合併を強く疑う。
初期評価
アスベスト曝露歴の聴取と、下肺野の捻髪音から疑う。
検査
胸部X線・HRCTで『下肺野・胸膜直下優位』の網状影、蜂巣肺、および『胸膜プラーク』を確認する。
喀痰細胞診や気管支肺胞洗浄(BAL)、肺生検で『石綿小体(アスベスト小体:鉄タンパクが沈着したアレイ状・数珠状の黄褐色繊維)』を証明すれば診断が確定する。
治療方針
線維化に対する根治的治療はなく、曝露の回避と『完全禁煙』が最も重要。
呼吸不全に対しては在宅酸素療法(HOT)などの対症療法を行う。最大の課題は悪性腫瘍の早期発見であるため、定期的な胸部CT検査による厳重なフォローアップが一生涯必要となる。
病態
吸入された針状のアスベスト繊維が肺胞の奥深くに突き刺さり、慢性的な炎症と線維化を引き起こす。胸膜にも到達して胸膜の肥厚・石灰化(プラーク)を生じ、さらに細胞のDNAを損傷して発癌を促す。
試験・臨床での重要ポイント
「造船所作業員、建設業、解体業」の職業歴が定番。
珪肺との鑑別が超頻出であり、石綿肺は『下肺野・胸膜直下優位』の線維化(すりガラス影、蜂巣肺)をきたす。胸部X線・CTで横隔膜や側胸壁にへばりつくような『胸膜プラーク(限局性胸膜肥厚・石灰化)』を見たら、アスベスト曝露の確定サインである。
最大の臨床的意義は、数十年(20〜40年)の潜伏期を経て『悪性胸膜中皮腫』や『原発性肺癌』を超高率に発症することである。特に「アスベスト曝露+喫煙」は肺癌リスクを相乗的に爆発させる。
覚え方・コツ
「石綿肺は『アスベスト』が突き刺さる最悪の職業病!造船所や古いビルの解体。珪肺(上肺野)と違って、石綿肺は『下肺野(重力で落ちるイメージ)』に影ができる。肺の周りの壁が分厚くなる『胸膜プラーク』を見つけたらアスベスト確定!数十年後に『中皮腫』と『肺ガン』の時限爆弾が爆発するから、タバコは絶対に吸うな!」
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I型呼吸不全は、動脈血酸素分圧(PaO2)が60Torr以下に低下しているが、二酸化炭素分圧(PaCO2)は正常または低下(45Torr以下)している状態。主に肺の実質や間質の障害による「酸素化障害」が原因である。
II型呼吸不全は、PaO2が60Torr以下に低下し、かつPaCO2が45Torrを超えて蓄積している状態。気道の閉塞や呼吸筋の低下による「肺胞換気量の低下(息が十分に吐き出せない、吸い込めない)」が主な原因である。
嚢胞性線維症(CF)は、CFTR遺伝子の異常により全身の外分泌腺の分泌液が異常に粘稠となる常染色体潜性(劣性)遺伝疾患である。白人に多く日本人には極めて稀。気道感染の反復による呼吸不全と、膵外分泌不全による消化・吸収不良が二大症状となる。
CO2ナルコーシスは、慢性的に高CO2血症がある患者(主に重症COPD)に対し、不適切に高濃度の酸素を投与した結果、呼吸中枢が抑制されてさらにCO2が蓄積し、重篤な意識障害や呼吸停止に陥る医原性の病態である。