医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
自己免疫性脳炎は、神経細胞の表面抗原等に対する自己抗体が原因で生じる急性〜亜急性の脳炎である。抗LGI1抗体脳炎は顔・上肢の短いジストニア発作(FBDS)や低ナトリウム血症を伴い、抗CASPR2抗体脳炎は末梢神経過興奮を伴うMorvan症候群などを呈する。
抗LGI1抗体脳炎:FBDS(一過性の顔面・上肢の不随意運動)、健忘・認知症、見当識障害、けいれん発作。
抗CASPR2抗体脳炎:大脳症状、末梢神経過興奮症(筋のピクつき・けいれん)、自律神経障害、不眠症、小脳失調。
血液・髄液検査:特異的自己抗体(抗LGI1抗体、抗CASPR2抗体)の証明。LGI1では低ナトリウム血症を高率に認める。
画像検査:頭部MRI(T2/FLAIR)にて、海馬や扁桃体(大脳辺縁系)や大脳基底核の高信号病変を認めることが多い。
脳波:FBDS発作時にてんかん性放電を伴わないか、伴っても極めて短い。
治療方針
早急な免疫療法が予後・後遺症を左右する。通常の抗てんかん薬はFBDSなどの発作に無効・難治であることが多い。
第一選択として『副腎皮質ステロイドパルス療法』や『免疫グロブリン大量静注(IVIG)』、『血漿交換療法』を速やかに開始する。胸腺腫などの腫瘍が発見された場合は、腫瘍の摘出を行う。
病態
かつて「VGKC(電位依存性カリウムチャネル)複合体抗体関連脳炎」と呼ばれていたものが、主な標的抗原がLGI1とCASPR2であることが判明し細分化された。抗NMDA受容体脳炎(若い女性・卵巣奇形腫)と並んで重要な自己免疫性脳炎である。
試験・臨床での重要ポイント
①『抗LGI1抗体脳炎』:中高年男性に多い。1日に数十回も「顔や腕が一瞬(数秒)ピクッと動く」特徴的な『FBDS(顔面・上肢ジストニア発作)』が最大のキーワード。急速に進行する認知機能障害と、SIADH様の『低ナトリウム血症』を合併する。
②『抗CASPR2抗体脳炎』:大脳症状(認知機能低下やてんかん)に加え、末梢神経のピクつき(ミオキミア・線維束性収縮:ニューロミオトニア)や自律神経障害(多汗)、重度の不眠を合併する『Morvan(モルバン)症候群』の形をとることがある。胸腺腫の合併に注意。
ここで読んだ内容を、AIや関連コンテンツでそのまま深掘りできます。
脳動静脈奇形(AVM)は、脳の動脈と静脈が正常な毛細血管網を介さずに、ナイダス(nidus)と呼ばれる異常な血管の塊を介して直接つながっている先天性の血管奇形である。若年者の脳出血や、てんかん発作の重要な原因となる。
アミロイドアンギオパチー(CAA)は、大脳皮質および軟膜の小〜中血管壁にβアミロイドタンパクが沈着し、血管が脆弱になる疾患である。高齢者の「皮質下出血(脳葉出血)」の主要な原因であり、アルツハイマー型認知症に高率に合併する。
もやもや病は、内頸動脈の終末部が進行性に狭窄・閉塞し、それを代償するために脳底辺部に細い異常血管網(もやもや血管)が形成される原因不明の疾患である。小児期には過呼吸を契機とする脳虚血発作、成人期にはもやもや血管の破綻による脳出血で発症する。
脳出血は、脳実質内の細い血管が破綻して出血する疾患。高血圧を原因とする高血圧性脳出血が大部分を占め、被殻、視床、小脳、橋などで生じる。出血部位に応じた局所神経症状(片麻痺や眼球運動障害)が急激に出現する。