慢性腎臓病(CKD)は、腎障害を示す所見、またはGFR 60 mL/分/1.73 m²未満が3か月以上続く状態である。腎機能の数値だけでなく、原因と蛋白尿・アルブミン尿を合わせて重症度と将来の危険を考える。
最終更新日: 2026年10月27日
慢性腎臓病(CKD)は、腎障害を示す所見、またはGFR 60 mL/分/1.73 m²未満が3か月以上続く状態である。腎機能の数値だけでなく、原因と蛋白尿・アルブミン尿を合わせて重症度と将来の危険を考える。
機能するネフロンが減ると、残ったネフロンが負担を引き受け、過剰な糸球体内圧や蛋白漏出などがさらに傷害を進める場合がある。糖尿病、高血圧、慢性糸球体腎炎、遺伝性疾患、尿路の異常など原因は多様である。CKDは原因を一つに限定した病名ではない。
進行すると老廃物排泄、水・ナトリウム、カリウム、酸塩基の調節が難しくなり、腎性貧血や骨・ミネラル代謝異常なども起こる。また、透析が必要になる危険だけでなく、心血管疾患の危険も高くなる。
蛋白尿・アルブミン尿、尿沈渣、画像、病理などで腎障害を認める場合、GFRが60以上でもCKDとなりうる。一方、一度のeGFR低値では持続性がわからず、脱水などの急性変化を確認する。急性腎障害がCKDに重なることもある。
重症度は原因(Cause)、GFR区分(G)、蛋白尿・アルブミン尿区分(A)を組み合わせて評価する。同じeGFRでも蛋白尿が多い人は危険が異なる。クレアチニンに基づくeGFRは筋肉量の影響を受け、筋肉の少ない人では腎機能を良く見積もることがある。必要に応じてシスタチンCなどで補う。
早期には自覚症状が乏しく、検診の蛋白尿や腎機能検査で見つかることが多い。進行すると浮腫、血圧上昇、倦怠感、息切れ、食欲低下、掻痒などが現れるが、どれもCKDだけに特有ではない。夜間尿や尿量の変化も経過と合わせて見る。
尿が出ていることは腎機能が十分である証明にはならない。新たな強い呼吸困難、乏尿、意識の変化、重い電解質異常では急性悪化を評価する。
以前の検査結果で持続期間と変化速度を確認し、尿定量、尿沈渣、電解質、血算、画像などを調べる。原疾患を推定し、急速なeGFR低下、強い蛋白尿、血尿の合併などでは専門的な評価につなげる。高齢という理由だけで腎機能低下を放置せず、全身状態と将来の危険を考える。
腎機能が急変したときは、脱水、感染、心不全、薬剤、尿路閉塞などを確認する。すでにCKDと診断されていても、すべての変化が不可逆な慢性進行とは限らない。
原因疾患、血圧、糖尿病、蛋白尿などを管理し、禁煙、適切な身体活動、塩分と栄養の調整を行う。ACE阻害薬・ARBやSGLT2阻害薬などは、原疾患、蛋白尿、腎機能、禁忌や有害事象を踏まえて選ぶ。すべての人に同じ薬や食事制限を一律に当てはめない。
高カリウム血症、貧血、アシドーシス、骨・ミネラル代謝異常を病期に応じて評価する。薬剤の投与量を確認し、市販鎮痛薬やサプリメントも含めて薬剤歴を共有する。食事の蛋白やカリウムを自己判断で極端に制限すると低栄養につながりうる。
進行例では腎代替療法や保存的腎臓療法を含め、本人の価値観に沿って情報を提供する。透析導入はeGFRだけでなく、症状、体液・電解質管理、栄養、生活への影響を総合して決める。
検診でeGFR 55が見つかった場合、まず過去の値と3か月以上の持続を確認する。eGFRが同じでも、尿蛋白が強い人では原因検索と進行リスクへの対応がより重要になる。検査値が改善しても、血圧や尿所見の経過観察を続ける。
eGFRは濾過機能、蛋白尿・アルブミン尿は腎障害や進行リスクを考える指標であり、同じ意味ではない。濾過機能が保たれていても強い蛋白尿がある例では原因検索と治療が必要となる。逆にeGFRが低くても、蛋白尿が少なく安定している例では経過や原因を踏まえた判断になる。
前回と比べるときは、体調、脱水、薬剤変更、検査の条件を確認する。腎保護薬を始めた後の変化でも、予想される反応と急性腎障害の鑑別を行う。自己判断で治療を中断せず、血圧、カリウム、腎機能を確認する計画を共有する。
食事・運動の説明では、何を制限するかだけでなく、必要なエネルギーと筋力を維持する方法を考える。高齢者や低栄養の人に画一的な制限を重ねると不利益が生じうる。検査値、栄養、生活、本人の希望を合わせて管理を続ける。
CKDのGFR区分と、薬剤投与量に使う腎機能評価は目的が異なる。体表面積で補正したeGFRの単位を確認し、薬剤ごとの基準に従う。低体重や肥満、筋肉量の異常がある例では、検査値をそのまま投与量の根拠にしてよいかを慎重に検討する。
糖尿病性腎症は、糖尿病の三大合併症(しめじ:神経・目・腎臓)の一つであり、日本の透析導入原因の第1位である。微量アルブミン尿から始まり、持続的蛋白尿、ネフローゼ症候群を経て腎不全へと進行する。
IgA腎症は、世界および日本で最も頻度が高い原発性糸球体腎炎である。糸球体メサンギウム領域へのIgA主体の免疫複合体沈着を特徴とし、上気道感染(扁桃炎など)後の「肉眼的血尿」が典型的な臨床像である。
腎硬化症は、長期の高血圧などに伴う腎内小動脈の障害を背景に、糸球体硬化や尿細管・間質の萎縮が進む病態である。高血圧は腎障害の原因にも結果にもなるため、他の腎疾患を検討して診断する。
急性腎障害(AKI)は、短期間に腎機能が低下する症候群である。血清クレアチニンの変化と尿量から捉え、腎前性・腎性・腎後性の原因を探しながら、電解質と体液の異常に対応する。
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