慢性硬膜下血腫は、頭部外傷後1〜2ヶ月かけて硬膜とくも膜の間に血腫が貯留し、脳を圧迫する疾患である。高齢者や大酒家に好発する。認知機能障害や歩行障害を呈するため「治療可能な認知症」として重要である。CBTや医師国家試験では、頭部CTでの「三日月型」の病変、急性硬膜外血腫との鑑別、および穿頭血腫洗浄ドレナージ術が超頻出である。
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頭痛(初期症状として多い)
片麻痺(血腫が脳の運動野を圧迫することで、徐々に進行する半身の麻痺が生じる)
認知機能障害(物忘れ、見当識障害、意欲低下など。認知症と誤診されやすい)
歩行障害、尿失禁
意識障害(血腫が巨大化し、脳ヘルニアを来しかけている重症例)
初期評価
高齢者で数週〜数ヶ月単位で進行する片麻痺や認知障害があれば本疾患を強く疑う。本人や家族から、数ヶ月前の軽い頭部外傷歴を念入りに聴取する。
検査
第一選択は「頭部CT(単純)」である。頭蓋骨内面に沿った「三日月型」の血腫像を確認する。出血してからの時間が部位によって異なるため、白(高吸収)、灰色(等吸収)、黒(低吸収)が混在した層状の陰影となることが多い。正中構造の対側への偏位(midline shift)も確認する。頭部MRIも、血腫の被膜や微小な新鮮出血の評価に有用である。
鑑別
急性硬膜外血腫(受傷直後〜数時間で発症、中硬膜動脈破綻、凸レンズ型、意識清明期:lucid intervalあり)、脳梗塞(突発する片麻痺)、アルツハイマー型認知症、正常圧水頭症(iNPH)と鑑別する。
外科的治療(第一選択)
症状がある場合、局所麻酔下での「穿頭血腫洗浄ドレナージ術(Burr hole surgery)」の絶対適応となる。頭骨に1か所(または2か所)小さな穴を開け、硬膜を切開して血腫を洗い流し、一晩ドレーンを留置する。手術の侵襲は少なく、術直後から劇的な症状の改善が得られる。
保存的治療
血腫がごく少量で無症状の場合や、手術リスクが極めて高い場合は、漢方薬の五苓散(ごれいさん)などを投与しながら外来でCTフォロー(経過観察)を行うこともあるが、基本は手術である。
病態
軽微な頭部打撲などにより、脳表から硬膜へ向かう「架橋静脈」が破綻し、硬膜下腔に少量の出血が生じる。その後、血腫の周囲に被膜が形成され、被膜からの反復する微小出血や浸出液によって数週〜数ヶ月かけて血腫が増大し、脳実質を圧迫する。
試験での重要ポイント
症例問題では「1〜2ヶ月前に転倒して頭を打ったが、本人は忘れている」といった高齢者のエピソードが典型。「認知症様症状(物忘れ、尿失禁)」や「徐々に進行する片麻痺・歩行障害」で発症する。画像問題では、頭部CTでの『三日月型(Crescent shape)』の等吸収〜高・混在吸収域と、脳室の圧排(正中偏位:midline shift)の所見は絶対暗記。中硬膜動脈の破綻による急性硬膜外血腫(凸レンズ型)との鑑別が極めてよく問われる。治療は、局所麻酔で頭蓋骨に穴を開けて血を抜く「穿頭血腫洗浄ドレナージ術」が第一選択であり、劇的な改善が得られる。
覚え方・コツ
「慢性硬膜下血腫は、おじいちゃんが忘れた頃(1〜2ヶ月後)にやってくる。架橋静脈が切れて、CTは三日月型(みかづき)。ボケたと思ったらコレを疑え(treatable dementia)。治療はドリルで穴を開けて洗うだけ(穿頭ドレナージ)!」と覚える。
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CIDPは、自己免疫学的機序により、末梢神経のミエリン鞘(髄鞘)が慢性的に破壊(脱髄)される疾患。ギラン・バレー症候群(GBS)と類似の病態だが、2ヶ月以上かけて進行、または再発と寛解を繰り返す点で異なる。ステロイドが第一選択となる。
神経線維腫症1型(von Recklinghausen病:レックリングハウゼン病)は、第17染色体にあるがん抑制遺伝子(NF1遺伝子)の変異によって生じる常染色体顕性(優性)遺伝疾患。カフェ・オ・レ斑と多発する神経線維腫を特徴とし、全身の多彩な合併症を伴う。
三叉神経痛は、顔面の感覚を司る三叉神経(第V脳神経)が、脳幹からの出口付近で血管(主に上小脳動脈)に圧迫されることで、顔面に突発的で激しい「電撃痛」を繰り返す疾患。抗てんかん薬であるカルバマゼピンが特効薬となる。
ビタミンB1(チアミン)の欠乏により、糖代謝が障害されてATPが産生できなくなり、末梢神経障害や心不全、中枢神経障害をきたす疾患。心不全を伴う「湿性脚気」、末梢神経障害主体の「乾性脚気」、そしてアルコール依存症等に合併する中枢神経障害「Wernicke(ウェルニッケ)脳症」が有名。