尿崩症は、抗利尿ホルモン(ADH)の分泌低下または腎臓での反応性低下により、水分の再吸収ができず大量の薄い尿が出る疾患である。口渇や多飲を特徴とし、高ナトリウム血症による脱水を来す。CBTや医師国家試験の内分泌分野において、中枢性と腎性の鑑別や水制限試験が毎年問われる超頻出の重要疾患である。
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多尿(1日3L以上、多いと10L以上の薄い尿が出る)
口渇・多飲(とくに冷たい水を好む傾向がある)
夜間頻尿(睡眠障害の原因となる)
脱水症状(皮膚の乾燥、ツルゴール低下)
発熱・体重減少(重症時や小児の場合)
初期評価
問診で1日の尿量や飲水量、夜間頻尿の有無、冷水を好むかを確認する。精神疾患やリチウム内服歴などの背景を聴取し、脱水所見を評価する。
検査
血液・尿検査で高Na血症、血漿浸透圧上昇、尿比重・尿浸透圧の著明な低下を確認する。水制限試験とバソプレシン負荷試験を実施して確定診断・鑑別を行う。頭部MRI(T1強調画像)で下垂体後葉の正常な高信号が消失しているかを確認する。
鑑別
心因性多飲症(低Na血症となる)、糖尿病(尿糖陽性、尿比重は高い)、原発性アルドステロン症や高カルシウム血症による多尿と鑑別する。
初期対応
口渇中枢が正常であれば自由な飲水を促す。意識障害などで自力で水分補給ができない場合は、著明な脱水と高Na血症を防ぐため、5%ブドウ糖液などの細胞内補充液を点滴投与する。
根本治療
中枢性尿崩症に対しては、合成バソプレシン製剤(デスモプレシン:DDAVP)の点鼻薬や口腔内崩壊錠の投与が第一選択となる。腎性尿崩症に対しては、サイアザイド系利尿薬の投与を行い、原因薬剤(リチウムなど)があれば中止・減量する。
病態
下垂体後葉からの抗利尿ホルモン(ADH:バソプレシン)の分泌が障害されるか、腎臓の集合管にあるV2受容体の反応が低下することで、水分の再吸収ができなくなる状態。
原因
頭部外傷や脳腫瘍、特発性(自己免疫)などによる中枢性(ADHが出ない)と、リチウムなどの薬剤や遺伝子変異による腎性(ADHが効かない)がある。
分類
原因部位により「中枢性尿崩症」と「腎性尿崩症」に大別される。
試験での重要ポイント
「多尿・多飲・口渇と、尿浸透圧の著明な低下」があればこの疾患を疑う。高ナトリウム血症を伴う所見は頻出である。中枢性と腎性を鑑別するための「水制限試験」と「バソプレシン負荷試験(中枢性では尿浸透圧が上昇し、腎性では上昇しない)」は超頻出。鑑別でよく出るのは、低ナトリウム血症を伴う「心因性多飲症」や、尿浸透圧が高い「糖尿病」である。
覚え方・コツ
「尿崩症は水ダダ漏れ。Na高くて尿は薄い。バソプレシン効けば中枢性、効かなければ腎性」と覚える。
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中枢性尿崩症は、視床下部・下垂体後葉の障害により、抗利尿ホルモン(ADH:バソプレシン)の合成・分泌が低下し、腎臓での水分再吸収ができなくなることで多尿と多飲をきたす疾患である。
甲状腺乳頭癌は、甲状腺悪性腫瘍の大部分(約90%)を占める癌。進行が極めて緩徐で、10年生存率が90%を超えるなど予後は良好だが、若年女性にも発症しやすく、頸部リンパ節転移を高率にきたす。細胞診での「すりガラス状核」が確定診断の鍵となる。
下垂体腺腫は、下垂体前葉細胞から発生する良性腫瘍。ホルモンを過剰分泌する「機能性腺腫」と、分泌しない「非機能性腺腫」がある。機能性の中で最も頻度が高いのがプロラクチン産生腫瘍(プロラクチノーマ)であり、無月経・乳汁漏出症候群をきたす。
ビタミンDの欠乏により、腸管からのカルシウム(Ca)とリン(P)の吸収が低下し、骨の石灰化(ミネラル沈着)が障害される疾患。成長軟骨線(骨端線)が閉鎖する前の小児期に発症するものを「くる病」、閉鎖後の成人期に発症するものを「骨軟化症」と呼ぶ。