褐色細胞腫は、主に副腎髄質から発生し、アドレナリンやノルアドレナリンなどのカテコールアミンを過剰に分泌する内分泌腫瘍である。発作性または持続性の高血圧をベースに、頭痛、動悸、発汗などの症状を特徴とする。二次性高血圧の代表的な原因疾患であり、CBTや医師国家試験において検査所見や術前管理が毎年問われる頻出の重要疾患である。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
高血圧(発作性または持続性であり、起立性低血圧を伴いやすい)
頭痛
心悸亢進(動悸)
発汗過多
体重減少・痩せ(代謝亢進による)
耐糖能異常(高血糖)
初期評価
問診で頭痛、動悸、発汗の発作の有無を確認し、血圧測定で高血圧を確認する。また、起立性低血圧(カテコールアミンによる血管収縮で循環血漿量が低下しているため)がないかを確認する。
検査
血液・尿検査でカテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリン)およびその代謝産物(メタネフリン、ノルメタネフリン)の高値を確認する。腹部造影CTやMRI(T2強調画像で著明な高信号)で腫瘍を描出し、131I-MIBGシンチグラフィで腫瘍への特異的集積を確認して確定診断とする。
鑑別
本態性高血圧症、原発性アルドステロン症、腎血管性高血圧症、甲状腺機能亢進症、パニック障害と鑑別する。
初期対応
高血圧クリーゼを防ぐため、厳格な血圧コントロールを行う。必ず「α遮断薬(ドキサゾシンなど)」の投与から開始し、頻脈が強い場合にのみ後からβ遮断薬を追加する(β遮断薬の単独先行投与は絶対禁忌)。
根本治療
腹腔鏡下副腎腫瘍摘出術などの外科的切除が第一選択となる。手術中の腫瘍操作によるカテコールアミン大量放出(急激な血圧上昇)や、摘出後の急激な血圧低下を防ぐため、術前からの十分なα遮断薬投与と輸液による循環血液量の確保が必須である。
病態
副腎髄質(クロム親和性細胞)などから発生した腫瘍がカテコールアミンを自律的かつ過剰に分泌し、交感神経系を持続的あるいは発作的に過剰刺激する状態である。
原因
多くは散発性(原因不明)であるが、約10〜30%は遺伝性疾患(多発性内分泌腫瘍症:MEN2型、von Hippel-Lindau病、神経線維腫症1型など)に伴って発症する。
分類
副腎外の交感神経節などに発生するものを「傍神経節腫(パラガングリオーマ)」と呼ぶ。かつては「10%の法則(両側性、悪性、副腎外、小児、家族性がそれぞれ約10%)」と言われたが、現在は遺伝性(家族性)の割合がより高いとされている。
試験での重要ポイント
「発作性の高血圧、頭痛、動悸、発汗」があればこの疾患を疑う。検査での「尿中メタネフリン・ノルメタネフリン高値」と、画像検査での「131I-MIBGシンチグラフィにおける腫瘍への集積」は頻出である。治療前の血圧コントロールにおいて、「必ずα遮断薬から投与を開始し、その後必要に応じてβ遮断薬を併用する(β単独は著明な血圧上昇を招くため絶対禁忌)」ことは超頻出事項である。鑑別でよく出るのは同じ二次性高血圧をきたす「原発性アルドステロン症」である。
覚え方・コツ
「褐色細胞腫の5H:Hypertension(高血圧)、Headache(頭痛)、Hyperhidrosis(多汗)、Hypermetabolism(代謝亢進/痩せ)、Hyperglycemia(高血糖)」と、「血圧の薬はA(α遮断)からB(β遮断)」で覚える。
ここで読んだ内容を、AIや関連コンテンツでそのまま深掘りできます。
中枢性尿崩症は、視床下部・下垂体後葉の障害により、抗利尿ホルモン(ADH:バソプレシン)の合成・分泌が低下し、腎臓での水分再吸収ができなくなることで多尿と多飲をきたす疾患である。
甲状腺乳頭癌は、甲状腺悪性腫瘍の大部分(約90%)を占める癌。進行が極めて緩徐で、10年生存率が90%を超えるなど予後は良好だが、若年女性にも発症しやすく、頸部リンパ節転移を高率にきたす。細胞診での「すりガラス状核」が確定診断の鍵となる。
下垂体腺腫は、下垂体前葉細胞から発生する良性腫瘍。ホルモンを過剰分泌する「機能性腺腫」と、分泌しない「非機能性腺腫」がある。機能性の中で最も頻度が高いのがプロラクチン産生腫瘍(プロラクチノーマ)であり、無月経・乳汁漏出症候群をきたす。
ビタミンDの欠乏により、腸管からのカルシウム(Ca)とリン(P)の吸収が低下し、骨の石灰化(ミネラル沈着)が障害される疾患。成長軟骨線(骨端線)が閉鎖する前の小児期に発症するものを「くる病」、閉鎖後の成人期に発症するものを「骨軟化症」と呼ぶ。