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橋本病(慢性甲状腺炎)は、甲状腺に対する自己免疫反応により甲状腺組織が慢性的に炎症を起こし、破壊される疾患である。原発性甲状腺機能低下症の最大の原因である。中年女性に好発する。CBTや医師国家試験では、特徴的な自己抗体(抗TPO抗体、抗Tg抗体)、無痛性のびまん性甲状腺腫大、そして甲状腺ホルモン(FT4)低下とTSH上昇という検査所見の組み合わせが毎年問われる超頻出疾患である。
全身・精神症状:寒がり、体重増加、易疲労感、無気力、傾眠、抑うつ。
皮膚・外見:皮膚乾燥、発汗減少、非圧痕性浮腫(粘液水腫:顔面や下肢がむくむが、指で押してもへこまない)、脱毛(特に眉毛の外側1/3の脱落)。
循環器・消化器症状:徐脈、心拡大(心囊液貯留による)、便秘。
局所症状:びまん性甲状腺腫大(弾性硬、表面平滑、無痛性。※バセドウ病より硬いのが特徴)。
初期評価
寒がりや体重増加といった甲状腺機能低下症状と、無痛性の甲状腺腫大から疑う。
検査
血液検査で「遊離T4(FT4)低下」および「TSH高値(原発性甲状腺機能低下を示す)」を確認する。自己抗体である「抗TPO抗体」または「抗Tg抗体」が陽性であることを確認する。一般生化学検査として、総コレステロール上昇、LDLコレステロール上昇、CK上昇などを認めることが多い。超音波検査で甲状腺内部の「エコーレベル低下・不均一(荒いザラザラした画像)」を認める。
鑑別
無痛性甲状腺炎(橋本病の経過中に甲状腺組織が一過性に破壊され、血中にホルモンが漏れ出して一時的な甲状腺中毒症=頻脈などを来す病態)、バセドウ病(甲状腺機能亢進症)、亜急性甲状腺炎(強い疼痛と発熱を伴う)と鑑別する。
内科的治療
甲状腺機能が正常(潜在性を含む)で無症状の場合は、無治療で「経過観察」とする。
甲状腺機能低下症を呈している場合は、合成T4製剤(レボチロキシンナトリウム)を生涯にわたって内服し、ホルモンを補充する。※急激な補充は心筋の酸素需要を急増させ、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)を誘発する恐れがあるため、高齢者や心疾患合併例では「ごく少量から開始」し、TSH値が正常範囲に収まるよう慎重に増量する。
生活指導
昆布などの「ヨウ素(ヨード)」を過剰摂取すると、甲状腺ホルモンの合成が逆に抑制されてしまう(ウォルフ・チャイコフ効果)ため、過剰摂取を控えるよう指導する。
病態
自己免疫異常により、甲状腺濾胞細胞がリンパ球の浸潤を受けて慢性的に破壊される。甲状腺ホルモン(T3, T4)の分泌が低下すると、ネガティブフィードバック機構により下垂体からの甲状腺刺激ホルモン(TSH)分泌が代償的に亢進する(原発性甲状腺機能低下症)。
試験での重要ポイント
中年女性の「寒がり、体重増加、便秘、徐脈、無気力」などの代謝低下症状に加え、「無痛性のびまん性甲状腺腫大」があれば本疾患を疑う。血液検査での「抗TPO抗体(抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体)」および「抗Tg抗体(抗サイログロブリン抗体)」の陽性が確定診断に重要。コレステロール高値(代謝低下による)やCK高値、悪性リンパ腫(特にMALTリンパ腫)を合併しやすい点も頻出引っかけポイントである。
覚え方・コツ
「橋本さんは、ぽっちゃり(体重増加)で寒がりなミセス(中年女性)。甲状腺は腫れてるけど痛くない。ホルモン出ない(FT4↓)から、下垂体が焦ってTSH爆上げ。抗体(TPO・Tg)で攻撃されて代謝ガタ落ち!」と覚える。
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