溶血性尿毒症症候群(HUS)は、腸管出血性大腸菌(O157など)の感染に引き続いて発症し、微小血管での血栓形成により赤血球破壊と腎不全を来す重篤な疾患である。血便を伴う下痢の後に、出血斑や乏尿、意識障害などを生じる。小児に好発し、CBTや医師国家試験の小児科・腎臓分野において毎年問われる超頻出疾患である。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
水様性下痢・血便・激しい腹痛(先行感染症状)
紫斑・点状出血(血小板減少による出血症状)
乏尿・浮腫(急性腎障害による)
全身倦怠感・蒼白・黄疸(溶血性貧血による)
意識障害・痙攣(重症例における脳症の合併)
初期評価
問診で数日前の生肉摂取歴や血便の有無を確認する。診察で出血斑、浮腫、脱水所見、神経症状の有無を評価する。
検査
血液検査で血小板減少、溶血所見(LDH上昇、間接ビリルビン上昇、ハプトグロビン低下)、腎機能障害(BUN、クレアチニン上昇)を確認する。末梢血塗抹標本で「破砕赤血球」の出現を確認する。便培養や迅速検査でO157やベロ毒素を検出して確定診断とする。
鑑別
TTP(血栓性血小板減少性紫斑病:ADAMTS13活性低下、精神神経症状が主体)、DIC、急性糸球体腎炎、カンピロバクター腸炎(血便を来すが腎不全は稀)と鑑別する。
初期対応
急性腎障害に対する厳格な水分・電解質管理(輸液制限など)と、著明な貧血に対する赤血球輸血を行う。※毒素の体内滞留を防ぐため、止痢薬(下痢止め)の投与は絶対禁忌である。
根本治療
典型HUSに対する特異的な治療法はなく、全身管理と急性期血液浄化療法(透析など)による対症療法が基本となる。非典型HUS(aHUS)に対しては、補体阻害薬(エクリズマブなど)が著効する。
病態
腸管出血性大腸菌などが産生するベロ毒素(志賀毒素)が血中に移行し、全身(とくに腎臓)の血管内皮細胞を障害することで微小血栓が多発し、溶血性貧血と急性腎障害を引き起こす。
原因
腸管出血性大腸菌(O157、O111など)による感染(典型HUS)が大部分を占める。一部、補体制御因子の異常による非典型HUS(aHUS)が存在する。
分類
志賀毒素産生菌の感染による「典型(STEC-)HUS」と、それ以外の「非典型HUS(aHUS)」に分類される。
試験での重要ポイント
「生肉(ユッケなど)摂取後の血便を伴う下痢に続く、出血傾向や乏尿」があればこの疾患を疑う。HUSの三徴である「微小血管障害性溶血性貧血、血小板減少、急性腎障害」は超頻出。また、毒素の腸管内滞留を助長するため、止痢薬(下痢止め)の投与は「原則禁忌」であることが最重要。鑑別でよく出るのは、成人に多く精神神経症状が前面に出る「TTP(血栓性血小板減少性紫斑病)」である。
覚え方・コツ
「HUSの三徴:血(血小板減少)、貧(溶血性貧血)、腎(急性腎障害)はO157の置き土産」と覚える。
ここで読んだ内容を、AIや関連コンテンツでそのまま深掘りできます。
TRAPSは、TNF(腫瘍壊死因子)受容体の遺伝子変異により、病原体の感染がないのに自然免疫が暴走して長期間の発熱を繰り返す「自己炎症性疾患」。1週間以上続く発熱、遊走性の筋肉痛、眼周囲の浮腫を特徴とする。
新生児低血糖は、生後早期の新生児において血糖値が異常に低下した状態。脳のエネルギー源が枯渇するため、放置すると不可逆的な中枢神経障害(発達遅滞や脳性麻痺)を残す。母体糖尿病やFGR、早産児がハイリスクとなる。
大動脈縮窄症(CoA)は、大動脈の一部(多くは動脈管索付近)が先天的に狭くなっている疾患である。狭窄部より上(腕・頭)は高血圧となり、下(下肢)は血流低下をきたす「上下肢の血圧差」が最大の特徴。Turner症候群に高率に合併する。
プラダー・ウィリー症候群は、15番染色体長腕(15q11-q13)の「父親由来」の発現異常(ゲノムインプリンティング異常)による疾患。乳児期の重度筋緊張低下から一転し、幼児期以降は満腹中枢の異常による過食と高度肥満を呈する。