ホルネル症候群は、交感神経路(視床下部から眼球に至る経路)の障害により、片側の縮瞳、眼瞼下垂、眼球陥凹、無汗症をきたす神経症候群である。ワレンベルグ症候群やパンコースト腫瘍の合併症として、画像や病歴から原因部位を推測させる問題が国試で超頻出である。
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縮瞳(瞳孔散大筋の麻痺。暗所で左右の瞳孔不同が顕著になる)
眼瞼下垂(ミュラー筋の麻痺。動眼神経麻痺によるものより軽度)
眼球陥凹(眼瞼下垂により陥凹しているように見える「みかけの陥凹」)
顔面片側(患側)の無汗症、血管拡張(紅潮)
※これらをホルネルの三徴(または四徴)と呼ぶ。
初期評価
片側の軽度な眼瞼下垂と縮瞳(瞳孔不同)から疑う。動眼神経麻痺(散瞳と高度な眼瞼下垂)との鑑別が重要。
検査
コカイン点眼試験(健側は散瞳するが患側は散瞳しない)などで交感神経障害を確定する。その後、原因部位検索のため、頭頸部MRI(延髄梗塞、内頸動脈解離の評価)や胸部CT(肺尖部腫瘍の評価)を必ず実施する。
治療方針
ホルネル症候群そのものに対する特異的な治療はなく、原因疾患(原疾患)の特定と治療がすべてである。脳梗塞であれば抗血栓療法、パンコースト腫瘍であれば化学放射線療法や手術、内頸動脈解離であれば厳重な血圧コントロールや外科的治療を行う。
病態
眼球および顔面を支配する交感神経(第1〜第3ニューロンのいずれか)が障害されることで、交感神経機能が低下し、相対的に副交感神経優位の状態となる。
試験・臨床での重要ポイント
障害される部位によって原因疾患が明確に異なるのが最大のポイント。
【第1ニューロン(視床下部〜延髄〜脊髄C8-T2)】:脳幹の血管障害、特に『ワレンベルグ症候群(延髄外側症候群)』が代表的。
【第2ニューロン(脊髄〜肺尖部〜上頸部交感神経節)】:肺尖部癌が星状神経節を浸潤する『パンコースト(Pancoast)腫瘍』が超頻出。
【第3ニューロン(上頸部交感神経節〜内頸動脈に沿って眼球へ)】:『内頸動脈解離』や群発頭痛など。※第3ニューロン障害では、顔面の汗腺への枝がすでに分岐した後の障害となることが多く、無汗症を伴わないことがある。
覚え方・コツ
「ホルネルは『交感神経(アクセル)の断線』!目がリラックスしすぎて瞳孔が閉じ(縮瞳)、まぶたが下がり(眼瞼下垂)、汗をかかなくなる(無汗症)。延髄のワレンベルグ、肺のパンコースト腫瘍を見たら必ずホルネルを探せ!」
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ウェルニッケ脳症は、ビタミンB1(チアミン)の欠乏により発症する急性の脳症。眼球運動障害、運動失調、意識障害の三徴が特徴であり、アルコール依存症や低栄養患者に好発する。不可逆的なコルサコフ症候群への移行を防ぐため、糖液投与前のビタミンB1補充が絶対原則である。
MLF症候群(内側縦束症候群)は、脳幹の内側縦束(MLF)の障害により、側方注視時に患側の眼球が内転できず、健側の外転眼に解離性眼振が生じる眼球運動障害である。輻輳(寄り目)は保たれるのが特徴である。
多発性硬化症は、中枢神経系(脳、脊髄、視神経)の白質に多発性の脱髄斑が生じる自己免疫疾患である。「空間的・時間的多発(様々な部位の症状が再発と寛解を繰り返す)」を特徴とし、ウートフ徴候や髄液のオリゴクローナルバンド陽性が国試で頻出である。
脳ヘルニアは、頭蓋内圧亢進により、脳組織が本来の区画から別の区画へ押し出される致死的な病態である。テント切痕ヘルニア(鉤ヘルニアなど)や大後頭孔ヘルニア(小脳扁桃ヘルニア)が代表的で、瞳孔異常や呼吸停止をきたす。