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コルサコフ症候群は、ビタミンB1(チアミン)の欠乏によるウェルニッケ脳症が慢性化し、不可逆的な器質的記憶障害を残した状態である。「記銘力障害」と、失われた記憶を無意識の作り話で埋める「作話」が特徴的な認知症症候群である。
コルサコフの4徴
①記銘力障害(前向性健忘):新しい情報を記憶に留めることができない。
②見当識障害:日付、場所、周囲の状況がわからない。
③作話:記憶の欠損を補うために、体験していないことを事実のように話す。
④健忘(逆向性健忘):発症以前の過去の記憶も一部失われる。
※知的能力全般の低下(全般性認知症)ではなく、記憶障害が突出しているのが特徴。意識レベルは通常清明である。
初期評価
慢性アルコール依存症の患者で、ウェルニッケの三徴(眼球運動障害、運動失調)の既往または残存があり、著明な近時記憶障害と作話を認めた場合に臨床的に診断する。
検査
頭部MRIで、『乳頭体の萎縮』や第3脳室の拡大、視床内側部の萎縮などの器質的変化を確認する。認知機能検査(HDS-Rなど)で記憶項目の著しい低下を認める。
治療方針
脳細胞の器質的破壊が完成しているため、失われた記憶機能や作話を完全に回復させる特異的治療法はない。急性期から移行するのを防ぐためのビタミンB1大量投与が唯一の予防・治療となるが、慢性期(コルサコフ状態)になってからの投与効果は限定的である。
精神科的アプローチとして、絶対的な『断酒』の継続、栄養管理、および施設入所や介護サービスを含めた長期的な生活支援・環境調整が主体となる。
病態
アルコール依存症や極度の低栄養により生じたウェルニッケ脳症(急性期)に対して、ビタミンB1の補充が遅れたり不十分であったりすると、記憶を司る脳の深部(乳頭体、視床前核、大脳辺縁系)の神経細胞が壊死・萎縮し、不可逆的なダメージを負う(ウェルニッケ・コルサコフ症候群)。
試験・臨床での重要ポイント
背景として「大酒家(アルコール依存症)」が定番のエピソード。
『コルサコフの4徴』が絶対暗記キーワード。①『記銘力障害(前向性健忘:数分前の新しい出来事を覚えられない)』、②『見当識障害』、③『作話(さくわ:記憶の空白を、その場しのぎの虚構で辻褄を合わせて埋めようとする)』、④『健忘(逆向性健忘)』。ウェルニッケ脳症でみられた意識障害は回復しており、一見すると普通に会話できるが、少し前のことを全く覚えておらず、堂々と嘘をつく(本人は嘘をついている自覚がない)のが特徴。
覚え方・コツ
「コルサコフは『ウェルニッケ脳症(B1不足)の悲惨な成れの果て』!脳のメモ帳(乳頭体など)が完全に壊れてしまった状態。新しいことが一切覚えられない(記銘力障害)のに、プライドがあるのか『さっき何してたの?』と聞かれると無意識にペラペラとウソをつく(作話)。一度こうなったらビタミンB1を打っても記憶力は元に戻らない!」
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脳動静脈奇形(AVM)は、脳の動脈と静脈が正常な毛細血管網を介さずに、ナイダス(nidus)と呼ばれる異常な血管の塊を介して直接つながっている先天性の血管奇形である。若年者の脳出血や、てんかん発作の重要な原因となる。
アミロイドアンギオパチー(CAA)は、大脳皮質および軟膜の小〜中血管壁にβアミロイドタンパクが沈着し、血管が脆弱になる疾患である。高齢者の「皮質下出血(脳葉出血)」の主要な原因であり、アルツハイマー型認知症に高率に合併する。
もやもや病は、内頸動脈の終末部が進行性に狭窄・閉塞し、それを代償するために脳底辺部に細い異常血管網(もやもや血管)が形成される原因不明の疾患である。小児期には過呼吸を契機とする脳虚血発作、成人期にはもやもや血管の破綻による脳出血で発症する。
脳出血は、脳実質内の細い血管が破綻して出血する疾患。高血圧を原因とする高血圧性脳出血が大部分を占め、被殻、視床、小脳、橋などで生じる。出血部位に応じた局所神経症状(片麻痺や眼球運動障害)が急激に出現する。