ランバート・イートン症候群(LEMS)は、神経筋接合部の神経末端からのアセチルコリン放出が障害され、筋力低下を来す自己免疫疾患である。肺小細胞癌などの悪性腫瘍に合併することが多く、下肢近位筋の筋力低下を特徴とする。CBTや医師国家試験では重症筋無力症との鑑別が超頻出の重要疾患である。
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下肢近位筋を中心とした筋力低下・易疲労性(運動を続けると一時的に改善するのが特徴:warmed-up現象)
自律神経症状(口渇、便秘、インポテンツなど)
四肢の腱反射低下または消失
(重症筋無力症に比べ、眼瞼下垂や嚥下障害などの脳神経領域の症状は少ない)
初期評価
問診で口渇などの自律神経症状や、運動後の筋力の一時的な改善がないかを確認する。神経診察で下肢近位筋の筋力低下、腱反射の低下を確認する。
検査
血液検査で「抗VGCC抗体」の陽性を確認する。針筋電図の反復刺激試験において、低頻度刺激では振幅の漸減(waning)を認めるが、高頻度刺激(10Hz以上)や最大随意運動後には振幅の著明な漸増(waxing)を認める。また、胸部CTなどで肺小細胞癌の検索を必ず行う。
鑑別
重症筋無力症(日内変動あり、腱反射正常、自律神経症状なし、高頻度刺激で漸増しない)、ギラン・バレー症候群、多発性筋炎と鑑別する。
初期対応
悪性腫瘍(とくに肺小細胞癌)の合併が疑われる場合は、腫瘍の精査および原発巣に対する治療(化学療法など)を最優先で行う。
根本治療
腫瘍合併例では腫瘍の治療により神経症状も改善することが多い。神経症状に対する対症療法として、アセチルコリンの放出を促進する塩酸アミファンプリジン(3,4-ジアミノピリジン)やコリンエステラーゼ阻害薬を投与する。重症例では免疫グロブリン大量静注療法(IVIg)や血漿交換、免疫抑制薬を併用する。
病態
神経筋接合部の運動神経末端にある電位依存性カルシウムチャネル(VGCC)に対する自己抗体が産生され、アセチルコリンの放出が阻害されることで筋力低下が生じる。
原因
約60%が悪性腫瘍(とくに肺小細胞癌)に傍腫瘍性神経症候群として合併する。残りは自己免疫異常による原発性である。
分類
腫瘍を合併する「腫瘍合併型」と、腫瘍を伴わない「非腫瘍型」に大別される。
試験での重要ポイント
「肺小細胞癌に合併する下肢近位筋の筋力低下」があればこの疾患を疑う。検査では「抗VGCC抗体陽性」と、反復刺激試験での「高頻度刺激(または運動後)による振幅の漸増(waxing)」が超頻出。自律神経症状(口渇、便秘)や腱反射の低下を伴う点も重要。鑑別でよく出るのは「重症筋無力症(抗AChR抗体陽性、低頻度刺激で漸減、眼瞼下垂が主体、胸腺腫合併)」である。
覚え方・コツ
「LEMSは、カルシウム(VGCC)が詰まって動けない、動けば良くなる(waxing)、肺小細胞癌のおまけ」と覚える。
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CIDPは、自己免疫学的機序により、末梢神経のミエリン鞘(髄鞘)が慢性的に破壊(脱髄)される疾患。ギラン・バレー症候群(GBS)と類似の病態だが、2ヶ月以上かけて進行、または再発と寛解を繰り返す点で異なる。ステロイドが第一選択となる。
神経線維腫症1型(von Recklinghausen病:レックリングハウゼン病)は、第17染色体にあるがん抑制遺伝子(NF1遺伝子)の変異によって生じる常染色体顕性(優性)遺伝疾患。カフェ・オ・レ斑と多発する神経線維腫を特徴とし、全身の多彩な合併症を伴う。
三叉神経痛は、顔面の感覚を司る三叉神経(第V脳神経)が、脳幹からの出口付近で血管(主に上小脳動脈)に圧迫されることで、顔面に突発的で激しい「電撃痛」を繰り返す疾患。抗てんかん薬であるカルバマゼピンが特効薬となる。
ビタミンB1(チアミン)の欠乏により、糖代謝が障害されてATPが産生できなくなり、末梢神経障害や心不全、中枢神経障害をきたす疾患。心不全を伴う「湿性脚気」、末梢神経障害主体の「乾性脚気」、そしてアルコール依存症等に合併する中枢神経障害「Wernicke(ウェルニッケ)脳症」が有名。