最終更新日: 2026年4月16日
アスクレピアで深掘りするランバート・イートン症候群(LEMS)は、神経筋接合部の神経末端からのアセチルコリン放出が障害され、筋力低下を来す自己免疫疾患である。肺小細胞癌などの悪性腫瘍に合併することが多く、下肢近位筋の筋力低下を特徴とする。CBTや医師国家試験では重症筋無力症との鑑別が超頻出の重要疾患である。
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下肢近位筋を中心とした筋力低下・易疲労性(運動を続けると一時的に改善するのが特徴:warmed-up現象)
自律神経症状(口渇、便秘、インポテンツなど)
四肢の腱反射低下または消失
(重症筋無力症に比べ、眼瞼下垂や嚥下障害などの脳神経領域の症状は少ない)
初期評価
問診で口渇などの自律神経症状や、運動後の筋力の一時的な改善がないかを確認する。神経診察で下肢近位筋の筋力低下、腱反射の低下を確認する。
検査
血液検査で「抗VGCC抗体」の陽性を確認する。針筋電図の反復刺激試験において、低頻度刺激では振幅の漸減(waning)を認めるが、高頻度刺激(10Hz以上)や最大随意運動後には振幅の著明な漸増(waxing)を認める。また、胸部CTなどで肺小細胞癌の検索を必ず行う。
鑑別
重症筋無力症(日内変動あり、腱反射正常、自律神経症状なし、高頻度刺激で漸増しない)、ギラン・バレー症候群、多発性筋炎と鑑別する。
初期対応
悪性腫瘍(とくに肺小細胞癌)の合併が疑われる場合は、腫瘍の精査および原発巣に対する治療(化学療法など)を最優先で行う。
根本治療
腫瘍合併例では腫瘍の治療により神経症状も改善することが多い。神経症状に対する対症療法として、アセチルコリンの放出を促進する塩酸アミファンプリジン(3,4-ジアミノピリジン)やコリンエステラーゼ阻害薬を投与する。重症例では免疫グロブリン大量静注療法(IVIg)や血漿交換、免疫抑制薬を併用する。
病態
神経筋接合部の運動神経末端にある電位依存性カルシウムチャネル(VGCC)に対する自己抗体が産生され、アセチルコリンの放出が阻害されることで筋力低下が生じる。
原因
約60%が悪性腫瘍(とくに肺小細胞癌)に傍腫瘍性神経症候群として合併する。残りは自己免疫異常による原発性である。
分類
腫瘍を合併する「腫瘍合併型」と、腫瘍を伴わない「非腫瘍型」に大別される。
試験での重要ポイント
「肺小細胞癌に合併する下肢近位筋の筋力低下」があればこの疾患を疑う。検査では「抗VGCC抗体陽性」と、反復刺激試験での「高頻度刺激(または運動後)による振幅の漸増(waxing)」が超頻出。自律神経症状(口渇、便秘)や腱反射の低下を伴う点も重要。鑑別でよく出るのは「重症筋無力症(抗AChR抗体陽性、低頻度刺激で漸減、眼瞼下垂が主体、胸腺腫合併)」である。
覚え方・コツ
「LEMSは、カルシウム(VGCC)が詰まって動けない、動けば良くなる(waxing)、肺小細胞癌のおまけ」と覚える。
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大脳皮質基底核変性症(CBD)は、脳の皮質と基底核の両方が萎縮し、タウ蛋白が蓄積する進行性の神経変性疾患である。左右差の顕著な筋強剛や肢位失行、他人の手徴候を特徴とする。指定難病であり、医師国家試験やCBTでは進行性核上性麻痺(PSP)との鑑別問題で超頻出の重要疾患である。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、大脳皮質から脊髄にかけての上位運動ニューロンと下位運動ニューロンが選択的に進行性に変性・脱落する指定難病である。全身の筋力低下や筋萎縮、球麻痺症状を特徴とし、最終的に呼吸筋麻痺に至る。CBTや医師国家試験の神経分野で毎年問われる超頻出疾患である。
脊髄小脳変性症(SCD)は、小脳や脊髄の神経細胞が徐々に変性・脱落していく進行性の指定難病の総称である。歩行時のふらつきや手の震え、呂律が回らないなどの運動失調を主症状とする。孤発性と遺伝性があり、CBTや医師国家試験では多系統萎縮症(MSA)との分類や小脳症状の診察法が毎年問われる頻出疾患である。
進行性核上性麻痺(PSP)は、脳の基底核や脳幹にタウ蛋白が蓄積し、神経細胞が脱落する指定難病である。初期からの易転倒性(後方への転倒)や下方への垂直性眼球運動障害を特徴とする。パーキンソン症候群を呈する代表的な疾患であり、医師国家試験の神経内科分野において鑑別疾患として超頻出である。