ハンセン病は、抗酸菌の一種である「らい菌(Mycobacterium leprae)」の感染によって引き起こされる慢性感染症である。主に末梢神経と皮膚を侵し、知覚麻痺や皮膚病変をきたす。感染力は極めて弱く、現在は多剤併用療法(MDT)によって完治する疾患である。
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皮膚症状:知覚脱失を伴う白斑・紅斑、環状紅斑、結節、顔面の変形(獅子様顔貌)、眉毛・睫毛の脱毛。
末梢神経症状:触覚・痛覚・温度覚の低下〜脱失(これにより無自覚のうちに火傷や外傷を負いやすい)、運動麻痺(垂れ手、鷲手など)、神経幹の肥厚・圧痛。
その他:眼症状(兎眼、角膜潰瘍)、骨・軟骨の変形・吸収。
初期評価
流行地域(または過去の流行地域)での居住歴、知覚低下を伴う難治性の皮疹や末梢神経肥厚から疑う。
検査
皮膚の組織液(耳たぶ等から採取する皮膚スメア検査)や、皮膚・神経生検組織における『抗酸菌染色(Ziehl-Neelsen染色など)』でらい菌を証明する。らい菌は人工培地では培養できない(ヌードマウスの足蹠などで増殖させる)ことが特徴である。PCR法も有用。
治療方針
WHOが推奨する『多剤併用療法(MDT)』が世界的な標準治療であり、これにより完治する。原因菌の耐性化を防ぐため、『リファンピシン(RFP)』、『ジアフェニルスルホン(DDS)』、『クロファジミン(CLF)』の2〜3剤を、病型(菌量)に応じて半年〜1年以上内服する。治療中に生じる急激な免疫反応(らい反応)に対してはステロイドを使用する。
病態
らい菌はマクロファージやシュワン細胞などの細胞内に寄生する。潜伏期間が数年〜数十年と非常に長いのが特徴。患者の細胞性免疫の強さによって、症状や菌量が大きく2つの極(らい腫型と類結核型)に分かれる。
試験・臨床での重要ポイント
【類結核型(T型)】:細胞性免疫が保たれているため菌量は少ない。少数の境界明瞭な『知覚低下・脱失を伴う紅斑や白斑』と、末梢神経の肥厚が特徴。
【らい腫型(L型)】:細胞性免疫が低下しており菌量が非常に多い。全身に左右対称の結節(らい腫)が多発し、進行すると顔面が変形する『獅子様顔貌(leonine facies)』や、眉毛の外側1/3の脱毛などをきたす。
公衆衛生や医療倫理の観点から、『かつての絶対隔離政策による深刻な人権侵害』の歴史的背景が国試でも問われることが多い。
覚え方・コツ
「ハンセン病は『皮膚』と『末梢神経(感覚がなくなる)』の病気!原因はらい菌だけど、感染力はめちゃくちゃ弱くて今は完全に治る病気。免疫が強いT型は『感覚がない斑点』、免疫が弱いL型は『顔のボコボコ(結節)や眉毛の脱毛』が出る。昔の隔離政策の歴史も絶対忘れるな!」
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