骨髄異形成症候群(MDS)は、造血幹細胞の異常により、無効造血と血球の形態異常(異形成)を来す疾患群である。末梢血では汎血球減少を示すが、骨髄は過形成となるのが特徴である。急性骨髄性白血病(AML)へ移行しやすく、CBTや医師国家試験の血液分野において再生不良性貧血との鑑別が超頻出の疾患である。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
貧血症状(息切れ、動悸、全身倦怠感、顔面蒼白など。最も頻度が高い)
出血傾向(紫斑、点状出血、鼻出血など。血小板減少による)
易感染性(発熱、肺炎などの感染症を繰り返す。好中球減少による)
※初期は無症状のことが多く、健康診断の血液検査(大球性貧血など)を契機に発見されることが多い。
初期評価
高齢者の貧血や汎血球減少を認めた場合、ビタミンB12や葉酸欠乏による巨赤芽球性貧血(本疾患と同様に大球性貧血・無効造血を呈する)を採血等で除外する。
検査
血液検査で汎血球減少(特に大球性貧血)や網赤血球の減少を確認する。確定診断には骨髄穿刺が必須であり、「正〜過形成髄」であることと、各血球系統の「形態異常(dysplasia)」を確認する。予後予測のために染色体検査(Gバンド法など)も必須である。
鑑別
再生不良性貧血(低形成髄、異形成なし)、巨赤芽球性貧血(ビタミンB12・葉酸欠乏による、過分葉好中球などの特徴的形態)、急性骨髄性白血病(骨髄中の芽球が20%以上)と鑑別する。
初期対応
症状に応じて赤血球や血小板の輸血(支持療法)を行う。長期の赤血球輸血による鉄過剰症を防ぐため、鉄キレート剤を併用する。発熱性好中球減少症(FN)を合併した場合は直ちに広域抗菌薬を投与する。
根本治療
国際予後判定システム(IPSS-Rなど)でリスク分類を行い治療方針を決定する。低リスク群には経過観察や支持療法を中心とし、5q-症候群には免疫調節薬のレナリドミドを投与する。高リスク群にはDNAメチル化阻害薬(アザシチジン)を投与する。若年者(おおむね65歳以下)で治癒を目指す場合は、同種造血幹細胞移植の適応を検討する。
病態
造血幹細胞にクローン性の遺伝子異常が生じ、細胞が成熟する過程でアポトーシスにより死滅してしまう(無効造血)。そのため、骨髄では細胞が過剰に作られている(過形成髄)にもかかわらず、末梢血には十分な血球が供給されず汎血球減少を来す。
原因
多くは高齢者の加齢に伴う後天的な遺伝子変異であるが、過去の抗悪性腫瘍薬や放射線治療に起因する二次性(治療関連)MDSも存在する。
分類
末梢血や骨髄中の芽球(blast)の割合、異形成の系統数、染色体異常などに基づいて分類される(WHO分類)。骨髄中または末梢血中の芽球が20%以上になると「急性骨髄性白血病(AML)」に移行したと診断される。
試験での重要ポイント
「高齢者の大球性貧血または汎血球減少」と「過形成髄」の組み合わせがあればこの疾患を疑う。骨髄検査での「形態異常(偽ペルゲル異常、環状鉄芽球、微小巨核球など)」の確認は超頻出。鑑別において、脂肪髄(低形成髄)となる「再生不良性貧血」との違いが最重要。また、5q-症候群に対する「レナリドミド」や、高リスク群に対する「アザシチジン」の治療薬選択もよく問われる。
覚え方・コツ
「MDSは、工場(骨髄)はフル稼働(過形成)なのに不良品(異形成)ばかりで出荷されない(無効造血・汎血球減少)。不良品はやがて白血病になる」と覚える。
ここで読んだ内容を、AIや関連コンテンツでそのまま深掘りできます。
白血球減少症は、末梢血の白血球数が基準値(通常4000/μL未満)を下回る状態。臨床的に最も問題となるのは、細菌感染の防御を担う「好中球」の減少(好中球数1500/μL未満)であり、500/μL未満になると「無顆粒球症」と呼ばれ、致死的な感染症のリスクとなる。
非ホジキンリンパ腫は、ホジキンリンパ腫以外の全ての悪性リンパ腫の総称であり、日本のリンパ腫の90%以上を占める。B細胞性、T/NK細胞性に大別され、節外病変(胃、腸、甲状腺など)が多く、非連続性に飛び石のように転移する特徴がある。
慢性骨髄性白血病は、造血幹細胞の染色体異常(フィラデルフィア染色体)によって生じる骨髄増殖性腫瘍。異常なチロシンキナーゼ(BCR-ABL)が作られ、白血球(特に顆粒球系)が自律性に過剰増殖する。チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の登場により予後が劇的に改善した。
慢性リンパ性白血病は、形態的に成熟した小型のBリンパ球が異常増殖し、末梢血や骨髄、リンパ節に蓄積する低悪性度の血液腫瘍。欧米の白血病では最多だが、日本人には極めて稀である。進行が非常に緩徐であり、無症状の場合は治療を行わず経過観察される。