粘液水腫性昏睡は、重度の甲状腺機能低下症(橋本病など)を背景に、寒冷曝露や感染、薬剤などを契機として発症する致死的な病態である。低体温、徐脈、呼吸不全、意識障害を呈する救急疾患。
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意識障害(傾眠、昏睡)、けいれん。
低体温、徐脈、低血圧。
呼吸停止、全身の非圧痕性浮腫(粘液水腫)、皮膚の乾燥・冷感。
血液検査:FT3, FT4の著明な低下、TSHの異常高値(原発性の場合)。『低ナトリウム血症』、CK上昇。
血液ガス分析:PaO2低下、PaCO2上昇(II型呼吸不全・呼吸性アシドーシス)。
心電図:徐脈、低電位、T波平坦化。
ホルモン補充(ICU管理):
①『副腎皮質ステロイド静注』:潜在的・相対的副腎不全によるショックを防ぐため、甲状腺ホルモンより「先」または「同時」に投与する。
②『甲状腺ホルモン(レボチロキシン:T4、リオチロニン:T3)の静注』または経鼻胃管からの投与。
全身管理:人工呼吸器管理(II型呼吸不全に対して)、緩徐な保温(急激な加温は末梢血管拡張によるショックを招くため禁忌)、低Na血症の慎重な補正。
病態
甲状腺ホルモン(FT3, FT4)の極端な枯渇により、全身の代謝が著しく低下する。特に中枢神経系の機能低下と、呼吸中枢の感受性低下による換気不全が致命的となる。
試験・臨床での重要ポイント
甲状腺クリーゼの「真逆」の病態。
『冬場(寒冷曝露)』に『高齢の女性(橋本病の未治療者)』が『意識がない』状態で発見されるエピソードが定番。身体所見のキーワードは『低体温(35℃以下)』、『徐脈』、『低ナトリウム血症(水中毒様)』。呼吸中枢がサボるため、CO2が溜まる『II型呼吸不全』を合併するのが超重要。
治療は甲状腺ホルモン(T4/T3)の静注だが、クリーゼと同様に『ステロイドの先行投与』が必須となる。
覚え方・コツ
「粘液水腫性昏睡は『冬の橋本病の冬眠状態(超緊急)』!クリーゼの逆で、エンジンが完全に止まった状態。熱は下がり(低体温)、脈は遅く(徐脈)、呼吸をサボるからCO2が溜まる(II型呼吸不全)!慌てて甲状腺ホルモンだけを入れると、体が急に動き出して副腎がガス欠(急性副腎不全)になるから、必ず『ステロイド』を先に点滴しろ!」
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膵神経内分泌腫瘍(PanNET)は、膵臓の内分泌細胞(ランゲルハンス島など)から発生する稀な腫瘍。特定のホルモンを過剰分泌して特有の症状を呈する「機能性腫瘍」と、ホルモン症状を出さない「非機能性腫瘍」がある。MEN1(多発性内分泌腫瘍症1型)の部分症として発症することも多い。
甲状腺クリーゼは、未治療またはコントロール不良の甲状腺機能亢進症(主にバセドウ病)の患者に、感染、手術、外傷などの強いストレスが加わることで発症する、致死的な甲状腺中毒症の急性増悪状態である。高熱、頻脈、意識障害をきたす超緊急疾患。
Sheehan症候群は、分娩時の大量出血に伴うショックにより、下垂体前葉が虚血・壊死に陥り、汎下垂体機能低下症をきたす疾患である。「産後の乳汁分泌停止」と「無月経」が初発症状となる。
Cushing症候群は、副腎皮質からのコルチゾール(糖質コルチコイド)の過剰分泌により、満月様顔貌(ムーンフェイス)、中心性肥満、高血圧、糖尿病など多彩な症状を呈する疾患である。原因病変の部位により、ACTH依存性とACTH非依存性に分類される。