神経線維腫症1型(von Recklinghausen病:レックリングハウゼン病)は、第17染色体にあるがん抑制遺伝子(NF1遺伝子)の変異によって生じる常染色体顕性(優性)遺伝疾患。カフェ・オ・レ斑と多発する神経線維腫を特徴とし、全身の多彩な合併症を伴う。
最終更新日: 2026年5月31日
神経線維腫症1型(von Recklinghausen病:レックリングハウゼン病)は、第17染色体にあるがん抑制遺伝子(NF1遺伝子)の変異によって生じる常染色体顕性(優性)遺伝疾患。カフェ・オ・レ斑と多発する神経線維腫を特徴とし、全身の多彩な合併症を伴う。
皮膚症状:カフェ・オ・レ斑、多発する神経線維腫(皮膚のやわらかい結節)、腋窩・鼠径部の雀卵斑様色素斑。
眼症状:Lisch結節(視力には影響しない)、視神経膠腫(視力低下、視野狭窄)。
骨格系症状:側弯症、長管骨の皮質肥厚・偽関節、蝶形骨翼の欠損。
その他:学習障害、褐色細胞腫などの腫瘍の合併。
臨床診断:NIHの診断基準(カフェ・オ・レ斑6個以上、神経線維腫2個以上、腋窩等の雀卵斑様色素斑、視神経膠腫、Lisch結節2個以上、特異的骨病変、第一度近親者にNF1の患者がいる)のうち2つ以上を満たせば確定診断。
画像診断:MRI等で視神経膠腫や中枢神経系の病変の有無を評価。
遺伝子検査:NF1遺伝子変異。
根本治療はない。合併症に対する対症療法が基本。
外科的治療:日常生活や整容的に問題となる神経線維腫の切除。側弯症に対する手術。
薬物療法:近年、手術困難な網状(叢状)神経線維腫に対して、MEK阻害薬(セルメチニブ等)が使用可能となり、腫瘍の縮小効果が期待されている。
病態
NF1遺伝子の産物であるニューロフィブロミン(Rasの働きを抑える)の機能低下により、細胞増殖が制御できなくなり、神経の鞘から腫瘍(神経線維腫)が多発する。
試験・臨床での重要ポイント
診断基準に含まれる特異的な身体所見が画像問題で超頻出。
①『カフェ・オ・レ斑』:ミルクコーヒー色の平坦な色素斑(思春期前で5mm以上、思春期以降で15mm以上が6個以上)。
②『神経線維腫』:皮膚に多発するぷにぷにとした柔らかい腫瘍。
③『腋窩・鼠径部の雀卵斑様色素斑(crowding)』:わきの下や足の付け根のソバカス様の色素沈着。
④『Lisch(リッシュ)結節』:虹彩(黒目)にできる茶色い過誤腫。
合併症として、視神経膠腫(optic glioma)、側弯症、そして『褐色細胞腫』を伴うことがある点に注意。
覚え方・コツ
「NF1は『カフェオレ飲んで、17歳(第17染色体)のレックリングハウゼン君の皮膚がボコボコになる病気』!体のあちこちにミルクコーヒー色のシミ(カフェ・オ・レ斑)が6個以上あって、ワキの下にソバカスがあり、皮膚にプニプニのイボ(神経線維腫)がたくさんあれば確定!目の中に茶色いシミ(Lisch結節)ができるのも特徴だ!」
CIDPは、自己免疫学的機序により、末梢神経のミエリン鞘(髄鞘)が慢性的に破壊(脱髄)される疾患。ギラン・バレー症候群(GBS)と類似の病態だが、2ヶ月以上かけて進行、または再発と寛解を繰り返す点で異なる。ステロイドが第一選択となる。
三叉神経痛は、顔面の感覚を司る三叉神経(第V脳神経)が、脳幹からの出口付近で血管(主に上小脳動脈)に圧迫されることで、顔面に突発的で激しい「電撃痛」を繰り返す疾患。抗てんかん薬であるカルバマゼピンが特効薬となる。
ビタミンB1(チアミン)の欠乏により、糖代謝が障害されてATPが産生できなくなり、末梢神経障害や心不全、中枢神経障害をきたす疾患。心不全を伴う「湿性脚気」、末梢神経障害主体の「乾性脚気」、そしてアルコール依存症等に合併する中枢神経障害「Wernicke(ウェルニッケ)脳症」が有名。
脳炎は、ウイルスなどが直接脳実質に感染して急性の炎症を引き起こす疾患。日本脳炎など様々あるが、日常診療と国試で圧倒的に重要なのが「単純ヘルペスウイルス(HSV)脳炎」である。側頭葉や前頭葉下部を好んで破壊し、致死率も高い。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。