最終更新日: 2026年4月16日
アスクレピアで深掘りする発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は、後天的な遺伝子変異により赤血球が自身の補体に破壊されやすくなる後天性の血管内溶血性疾患である。睡眠中の呼吸性アシドーシスにより溶血が亢進し、早朝の褐色尿(ヘモグロビン尿)を特徴とする。CBTや医師国家試験の血液分野で、特徴的な症状や検査所見が毎年問われる超頻出疾患である。
Medulava の学習コンテンツとして、理解しやすさと試験実用性を意識して執筆しています。
早朝の褐色尿・コーラ色尿(ヘモグロビン尿)
貧血症状(全身倦怠感、動悸、息切れ)
黄疸
血栓症に伴う症状(激しい腹痛、頭痛、下肢の腫脹など)
嚥下障害や勃起不全(遊離ヘモグロビンによる一酸化窒素:NOの枯渇に伴う平滑筋攣縮)
初期評価
問診で早朝の尿の色の変化や、再生不良性貧血の既往を確認する。診察で黄疸や貧血所見、血栓症を疑う所見がないかを評価する。
検査
血液検査で血管内溶血の所見(LDH著増、間接ビリルビン上昇、ハプトグロビン著減、網赤血球増加)と、汎血球減少の有無を確認する。尿中ヘモジデリン陽性を認める。フローサイトメトリーによる末梢血中のCD55・CD59陰性赤血球および顆粒球の検出により確定診断とする(かつてのHam試験や砂糖水試験に代わる標準検査)。
鑑別
自己免疫性溶血性貧血(AIHA:クームス試験陽性)、再生不良性貧血(溶血所見なし)、その他の血管内溶血を来す疾患(TTPやHUS)と鑑別する。
初期対応
重症の貧血に対しては赤血球輸血(補体による溶血を防ぐため洗浄赤血球が望ましい)を行う。また、尿中への鉄喪失に伴う鉄欠乏状態に対しては鉄剤の補充を行う。血栓症を発症した場合は抗凝固療法を開始する。
根本治療
溶血を抑制する根本治療として、補体C5を阻害する分子標的薬(エクリズマブやラブリズマブ)の定期的な点滴投与が第一選択となる。若年者で重症の骨髄不全を合併している場合などは、唯一の治癒が期待できる同種造血幹細胞移植を検討する。
病態
造血幹細胞における後天的なPIG-A遺伝子の変異により、赤血球表面の補体制御蛋白(CD55、CD59などのGPIアンカー型蛋白)が欠損し、自己の補体によって赤血球が破壊(血管内溶血)される状態である。
原因
後天的な遺伝子異常が原因であるが、再生不良性貧血などの骨髄不全疾患に合併・移行することが多い。
分類
溶血が前面に出る古典的PNHや、再生不良性貧血などの骨髄不全を伴うPNHなどに分類される。
試験での重要ポイント
「早朝のコーラ色尿(褐色尿)」と「汎血球減少」があればこの疾患を疑う。フローサイトメトリーでの「CD55およびCD59陰性血球の証明」が確定診断として超頻出。長期間の血管内溶血により尿中へ鉄が持続的に失われるため「鉄欠乏性貧血」を合併することや、致死的な合併症として「血栓症(静脈血栓症など)」を起こしやすいことも最重要。治療薬の「エクリズマブ」もよく問われる。鑑別でよく出るのは「自己免疫性溶血性貧血(AIHA)」である。
覚え方・コツ
「PNHは夜に溶け(早朝コーラ尿)、CD55・59がなく、鉄が漏れて(鉄欠乏合併)、血栓で詰まる」と覚える。
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再生不良性貧血は、骨髄の造血幹細胞が自己免疫異常などにより減少し、白血球、赤血球、血小板のすべてが減少(汎血球減少)する指定難病である。動悸や息切れ、感染による発熱、出血傾向を特徴とする。CBTや医師国家試験の血液分野において、検査所見や重症度に応じた治療法の選択が毎年問われる超頻出の重要疾患である。
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は、自己抗体によって血小板が過剰に壊され、血が止まりにくくなる自己免疫疾患である。あざ(紫斑)や点状出血、鼻血などを主症状とする。血液疾患の中でも、CBTや医師国家試験において検査所見や治療法が毎年問われる超頻出の重要疾患である。
骨髄異形成症候群(MDS)は、造血幹細胞の異常により、無効造血と血球の形態異常(異形成)を来す疾患群である。末梢血では汎血球減少を示すが、骨髄は過形成となるのが特徴である。急性骨髄性白血病(AML)へ移行しやすく、CBTや医師国家試験の血液分野において再生不良性貧血との鑑別が超頻出の疾患である。
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は、全身の微小血管に血栓が多発し、血小板の消費と赤血球の破壊が起こる重篤な血液疾患である。出血症状(紫斑)に加え、精神神経症状や腎障害、発熱の「古典的5徴」を特徴とする。無治療では致死率が極めて高く、CBTや医師国家試験の血液分野において超頻出の緊急疾患である。