ニューモシスチス肺炎は、細胞性免疫低下時(特にAIDS患者)に発症する代表的な日和見感染症である。真菌であるニューモシスチス・イロベチイが原因で、乾性咳嗽と呼吸困難をきたし、CTでの「両側びまん性すりガラス影」と血液検査での「β-D-グルカン上昇」が特徴的。ST合剤が特効薬となる。
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乾性咳嗽(痰を伴わない咳)、発熱。
進行性の労作時呼吸困難、息切れ。
※聴診では異常音(ラ音)を聴取しないことが多い(症状と画像所見の乖離)。
画像診断:胸部X線・高分解能CT(HRCT)で『両側びまん性のすりガラス影(蝶形陰影)』。胸水は伴わない。
血液検査:『β-D-グルカン』の上昇、『KL-6』の上昇、『LDH』の上昇。PaO2低下(低酸素血症)。
確定診断:誘発喀痰や気管支肺胞洗浄(BAL)液を用いて、グロコット染色またはジフ・クイック染色でシスト(栄養型)を証明する。またはPCR法によるDNA検出。
第一選択:『ST合剤(トリメトプリム・スルファメトキサゾール配合剤)』の内服または静注を21日間行う。副作用(発疹、骨髄抑制など)で使えない場合は、ペンタミジン静注やアトバコン内服に変更する。
重症化予防:中等症以上(PaO2 < 70mmHgなど)の場合は、治療開始直後の炎症悪化による呼吸不全を防ぐため、必ず『副腎皮質ステロイドを併用』する。
病態
環境中に広く存在する真菌(Pneumocystis jirovecii:かつては原虫と考えられていた)が、CD4陽性T細胞の減少(特に<200/μL)などの免疫不全を契機に肺胞内で異常増殖し、重篤な間質性肺炎を引き起こす。
試験・臨床での重要ポイント
『AIDSの指標疾患』の代表格(日本で最多)。
「HIV患者」または「ステロイド・免疫抑制薬の長期使用者」が、『乾いた咳(乾性咳嗽)』と息苦しさを訴えたら真っ先に疑う。
血液検査では真菌のマーカーである『β-D-グルカン』と、間質性肺炎のマーカーである『KL-6』、および『LDH』の上昇が超頻出キーワード。治療と予防(CD4<200で開始)の第一選択は『ST合剤』である。
覚え方・コツ
「PCPは『AIDS患者の命を奪うカビの肺炎』!CD4が200を切ると発症リスクが跳ね上がるから、200を切ったら『ST合剤』で予防する。咳は出るけど痰は出ない(空咳)。レントゲン・CTでは肺全体がすりガラスみたいに白く霞む(両側びまん性すりガラス影)。カビの証拠である『β-D-グルカン』の爆上がりを見逃すな!重症な時は、菌が死ぬ時の炎症(初期悪化)を防ぐために『ステロイド』を一緒に混ぜて打て!」
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MRSA腸炎は、広域抗菌薬の使用により正常な腸内細菌叢が抑制され、耐性を持つメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が異常増殖して生じる交代現象(菌交代症)の一つである。高齢者の術後などに激しい水様便や緑色便をきたし、急速に脱水・ショックへ進行する重症病態である。
肺炎球菌による市中肺炎(CAP)の最多かつ最も重要な原因疾患。悪寒戦慄を伴う急激な高熱と、「鉄錆色痰(てつさびいろたん)」が特徴的。肺の一葉がベッタリと白くなる大葉性肺炎を呈する。
レジオネラ肺炎は、温泉や24時間風呂、空調の冷却塔などの水系設備から発生するエアロゾルを吸入することで感染する、重症化しやすい非定型肺炎である。高熱に不釣り合いな「相対的徐脈」と、消化器・神経症状、および「低ナトリウム血症」を伴うのが特徴である。
マイコプラズマ肺炎は、「若年者(学童〜若年成人)」に好発する非定型肺炎の代表である。頑固な乾いた咳(乾性咳嗽)が特徴で、細胞壁を持たない菌であるためペニシリンなどのβラクタム系抗菌薬が無効であり、マクロライド系が第一選択となる。