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進行性核上性麻痺(PSP)は、脳の基底核や脳幹にタウ蛋白が蓄積し、神経細胞が脱落する指定難病である。初期からの易転倒性(後方への転倒)や下方への垂直性眼球運動障害を特徴とする。パーキンソン症候群を呈する代表的な疾患であり、医師国家試験の神経内科分野において鑑別疾患として超頻出である。
易転倒性(発症早期からみられ、とくに後方へ倒れやすい)
垂直性眼球運動障害(とくに下方視が困難になる)
パーキンソニズム(無動、筋強剛など。ただし安静時振戦は少ない)
偽性球麻痺(嚥下障害、構音障害)
認知機能障害(前頭葉機能の低下)
初期評価
問診で転倒のエピソード(とくに発症1年以内)を確認する。神経診察で眼球運動(指を追従させて上下の動きを確認)、頸部の後屈、すくみ足などの歩行障害を評価する。
検査
頭部MRI(正中矢状断)が必須であり、中脳被蓋の萎縮(ハミングバードサイン)や第3脳室の拡大を確認する。SPECTでは前頭葉や基底核の血流低下を認める。
鑑別
パーキンソン病(初期の転倒はまれ、L-dopa著効、安静時振戦あり)、多系統萎縮症(自律神経障害や小脳症状が主体)、大脳皮質基底核変性症(左右差の強いパーキンソニズムと失行・失語など)と鑑別する。
初期対応
転倒による骨折や外傷を防ぐため、生活環境の整備(段差の解消、手すりの設置など)や歩行器の導入といった安全対策を最優先で行う。嚥下障害に対する食事形態の調整や誤嚥性肺炎の予防も重要である。
根本治療
疾患の進行を止める根本的な治療法は確立されていない。パーキンソニズムに対してL-dopaなどの抗パーキンソン薬を試みるが、効果は限定的(または一時的)である。進行に応じてリハビリテーションを中心とした対症療法を行う。
病態
大脳基底核、中脳、橋、小脳などの神経細胞やグリア細胞に異常なタウ蛋白が蓄積し、神経細胞が脱落するタウオパチー(神経変性疾患)である。
原因
原因は不明だが、タウ蛋白の異常リン酸化と凝集が関与している。孤発性がほとんどで、中年以降(50〜70歳代)に発症する。
分類
典型的な症状を示すRichardson症候群(PSP-RS)のほか、パーキンソン病に似たPSP-Pなどに細分類される。
試験での重要ポイント
「初期からの後方への転倒(易転倒性)」と「下方視を中心とした垂直性眼球運動障害(下が見られない)」があればこの疾患を疑う。頭部MRIにおける中脳被蓋の萎縮(ハミングバードサイン:ハチドリのくちばし状)は画像問題として超頻出である。L-dopa(レボドパ)が効きにくいことも重要。鑑別でよく出るのは「パーキンソン病(初期は転倒しにくい、L-dopa著効)」や「多系統萎縮症」である。
覚え方・コツ
「PSPは、ハチドリ(MRI)が下を見られず(下方視障害)、後ろにひっくり返る(後方転倒)」と覚える。
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CIDPは、自己免疫学的機序により、末梢神経のミエリン鞘(髄鞘)が慢性的に破壊(脱髄)される疾患。ギラン・バレー症候群(GBS)と類似の病態だが、2ヶ月以上かけて進行、または再発と寛解を繰り返す点で異なる。ステロイドが第一選択となる。
神経線維腫症1型(von Recklinghausen病:レックリングハウゼン病)は、第17染色体にあるがん抑制遺伝子(NF1遺伝子)の変異によって生じる常染色体顕性(優性)遺伝疾患。カフェ・オ・レ斑と多発する神経線維腫を特徴とし、全身の多彩な合併症を伴う。
三叉神経痛は、顔面の感覚を司る三叉神経(第V脳神経)が、脳幹からの出口付近で血管(主に上小脳動脈)に圧迫されることで、顔面に突発的で激しい「電撃痛」を繰り返す疾患。抗てんかん薬であるカルバマゼピンが特効薬となる。
ビタミンB1(チアミン)の欠乏により、糖代謝が障害されてATPが産生できなくなり、末梢神経障害や心不全、中枢神経障害をきたす疾患。心不全を伴う「湿性脚気」、末梢神経障害主体の「乾性脚気」、そしてアルコール依存症等に合併する中枢神経障害「Wernicke(ウェルニッケ)脳症」が有名。