肺動静脈瘻は、肺の動脈と静脈が毛細血管を介さずに直接短絡(ショートカット)する血管異常である。静脈血(未酸素化血)が直接動脈系に混ざるため低酸素血症(チアノーゼ)をきたし、また静脈系の血栓や細菌が脳へ素通りして奇異性脳塞栓や脳膿瘍を引き起こす。
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右左シャントによる低酸素血症:労作時呼吸困難、チアノーゼ、ばち状指、多血症(二次性)
奇異性塞栓症:脳梗塞、TIA、脳膿瘍(肺のフィルターを通過した血栓や細菌による)
破裂による出血:血痰、喀血、血胸
※無症状で胸部X線の異常影として偶然発見されることも多い。
初期評価
原因不明の低酸素血症や脳梗塞・脳膿瘍の患者において、胸部X線で結節影を認めた場合に疑う。
検査
動脈血ガス分析で低酸素血症(100%酸素を吸入させてもPaO2が上がりきらない:シャントの証明)。胸部造影CTで、肺野の結節状の血管瘤と、そこに繋がる『拡張した流入動脈・流出静脈』を直接描出する。コントラスト心エコー(マイクロバブルテスト)で肺内右左シャントの存在を確認する。
治療方針
脳梗塞や脳膿瘍、喀血などの重大な合併症を防ぐため、発見された時点で(無症状でも流入動脈径が3mm以上であれば)治療適応となる。第一選択は侵襲の少ない『カテーテルを用いたコイル塞栓術(血管内治療)』である。病変が巨大・多発・複雑な場合や塞栓術困難例では外科的切除(部分切除など)を行う。
病態
毛細血管床が欠損しているため、右心系からの静脈血(静脈血栓や細菌を含む)が肺でのガス交換・フィルター機能を素通りして(右左シャント)、直接左心系から全身の動脈へ送り出される。オスラー病(遺伝性出血性毛細血管拡張症:HHT)に合併することが多い。
試験・臨床での重要ポイント
「原因不明の労作時息切れ・チアノーゼ・ばち状指(右左シャントによる)」を訴える患者や、若年で「原因不明の脳梗塞(奇異性脳塞栓)や脳膿瘍」を起こした患者の背景として必ず疑う疾患である。胸部X線やCTで、肺野の結節影に向かって『太い流入動脈と流出静脈(血管のつなぎ目)』がみられるのがビジュアル問題の定番。治療はコイル塞栓術。
覚え方・コツ
「肺動静脈瘻は、肺の毛細血管フィルターに開いた大きな抜け穴(シャント)!足の血栓やバイキンが肺で引っかからずに素通りして、脳に直撃するから『奇異性脳塞栓』や『脳膿瘍』になる!酸素も交換されないから息が苦しくチアノーゼになる。オスラー病に合併しやすい!」
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肺胞出血症候群は、肺胞内の毛細血管が破壊され、広範な肺胞内出血をきたす病態の総称。「喀血」「進行性の貧血」「胸部X線でのびまん性浸潤影」の三徴を呈し、ANCA関連血管炎やGoodpasture症候群などの自己免疫疾患が主な原因となる。
過換気症候群は、精神的・心理的ストレスを背景に発作的な過呼吸状態となり、血液中の二酸化炭素(CO2)が過剰に排出されることで、呼吸性アルカローシスおよび様々な身体症状をきたす病態である。
薬剤性肺障害は、医薬品の副作用として引き起こされる肺疾患の総称であり、多くは「薬剤性間質性肺炎」の形態をとる。原因薬剤の同定と速やかな中止が治療の第一歩となる。
びまん性汎細気管支炎(DPB)は、呼吸細気管支(気道と肺胞の移行部)を中心に慢性炎症をきたす、日本を中心とした東アジアに特異的な疾患。副鼻腔炎(蓄膿症)を高率に合併し、マクロライド系抗菌薬の少量長期投与が劇的に奏効する。