最終更新日: 2026年5月1日
Sheehan症候群は、分娩時の大量出血に伴うショックにより、下垂体前葉が虚血・壊死に陥り、汎下垂体機能低下症をきたす疾患である。「産後の乳汁分泌停止」と「無月経」が初発症状となる。
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プロラクチン低下:産後の乳汁分泌不全。
LH/FSH低下:無月経、乳房・性器の萎縮、恥毛・腋毛の脱落。
ACTH低下:全身倦怠感、低血圧、低血糖、皮膚の色素低下。
TSH低下:寒がり、浮腫、徐脈、無気力(甲状腺機能低下症状)。
問診:分娩時異常出血の既往(数年〜数十年前のこともある)。
血液検査:下垂体前葉ホルモン(PRL, LH, FSH, ACTH, TSH)の低値、およびそれに伴う標的臓器ホルモン(E2, コルチゾール, FT4)の低値。
ホルモン負荷試験:TRH、CRH、LH-RH負荷試験に対して、下垂体からの反応が低迷・無反応。
画像診断:頭部MRIにて、下垂体の萎縮(トルコ鞍の空虚化:エンプティ・セラ)を認める。
ホルモン補充療法(生涯必要):
①『副腎皮質ステロイド(ヒドロコルチゾン)』を【最優先】で補充する(甲状腺ホルモンを先に投与すると、相対的な副腎不全をきたし急性副腎不全・ショックを起こすため絶対禁忌)。
②ステロイド補充後に『甲状腺ホルモン(レボチロキシン)』を補充する。
③必要に応じて女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)を補充。
病態
妊娠中は下垂体が肥大し、血液需要が増加している。その状態で分娩時に大出血(弛緩出血や前置胎盤など)を起こすと、下垂体を栄養する門脈血流が途絶え、下垂体前葉が虚血性壊死を起こす(後葉は動脈支配のため保たれやすい)。
試験・臨床での重要ポイント
『分娩時の大出血』という病歴が全て。
症状の現れ方に順番があり、まずはプロラクチン(PRL)低下による『乳汁分泌不全(おっぱいが出ない)』と、ゴナドトロピン(LH/FSH)低下による『無月経(生理が再開しない)』に気づく。
その後、長期間かけてACTHやTSHの低下による全身の脱力感や『恥毛・腋毛の脱落』が目立つようになる。プロラクチン以外のホルモンを補充することが治療の基本となる。
覚え方・コツ
「シーハン症候群は『お産の大出血で、下垂体が干からびる病気』!下垂体が死ぬから、そこから出るホルモンが全部ストップする(汎下垂体機能低下症)。産後なのに『おっぱいが出ない』『いつまで経っても生理が来ない』『下の毛(恥毛)が抜けて生えてこない』というエピソードが出たらコレ一択!」
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中枢性尿崩症は、視床下部・下垂体後葉の障害により、抗利尿ホルモン(ADH:バソプレシン)の合成・分泌が低下し、腎臓での水分再吸収ができなくなることで多尿と多飲をきたす疾患である。
甲状腺乳頭癌は、甲状腺悪性腫瘍の大部分(約90%)を占める癌。進行が極めて緩徐で、10年生存率が90%を超えるなど予後は良好だが、若年女性にも発症しやすく、頸部リンパ節転移を高率にきたす。細胞診での「すりガラス状核」が確定診断の鍵となる。
下垂体腺腫は、下垂体前葉細胞から発生する良性腫瘍。ホルモンを過剰分泌する「機能性腺腫」と、分泌しない「非機能性腺腫」がある。機能性の中で最も頻度が高いのがプロラクチン産生腫瘍(プロラクチノーマ)であり、無月経・乳汁漏出症候群をきたす。
ビタミンDの欠乏により、腸管からのカルシウム(Ca)とリン(P)の吸収が低下し、骨の石灰化(ミネラル沈着)が障害される疾患。成長軟骨線(骨端線)が閉鎖する前の小児期に発症するものを「くる病」、閉鎖後の成人期に発症するものを「骨軟化症」と呼ぶ。