鎌状赤血球症は、ヘモグロビンの遺伝子変異により、低酸素状態などで赤血球が「鎌状(三日月型)」に変形する遺伝性溶血性貧血。変形した赤血球が微小血管に詰まることで、強烈な疼痛発作や多臓器障害を引き起こす。
最終更新日: 2026年5月31日
鎌状赤血球症は、ヘモグロビンの遺伝子変異により、低酸素状態などで赤血球が「鎌状(三日月型)」に変形する遺伝性溶血性貧血。変形した赤血球が微小血管に詰まることで、強烈な疼痛発作や多臓器障害を引き起こす。
疼痛発作(血管閉塞クリーゼ):骨、関節、胸部、腹部の突発的な激痛。
急性胸部症候群(Acute chest syndrome):発熱、胸痛、呼吸困難(肺の微小血管閉塞による致死的な合併症)。
溶血性貧血症状:黄疸、胆石(ビリルビン結石)。
感染症:肺炎球菌等による重篤な敗血症・髄膜炎。
小児初期症状:手足の甲がパンパンに腫れる手足症候群(指趾炎:dactylitis)。
末梢血塗抹標本:『鎌状赤血球(sickle cell)』の確認。脾機能低下のサインであるHowell-Jolly(ハウエル・ジョリー)小体。
ヘモグロビン電気泳動:異常ヘモグロビン(HbS)の証明(確定診断)。
急性期(疼痛発作時):十分な輸液(脱水の改善)、酸素投与、強力な鎮痛薬(オピオイドなど)。重症例(急性胸部症候群など)には交換輸血。
予防・維持療法:『ヒドロキシウレア』(HbFの割合を増やし、HbSの重合と赤血球の鎌状化を防ぐ特効薬)。
感染予防:『肺炎球菌ワクチン』等の定期接種、ペニシリンの予防内服。
根治治療:同種造血幹細胞移植。
病態
βグロビン遺伝子の点突然変異(グルタミン酸がバリンに置換)により、異常なヘモグロビンS(HbS)が作られる常染色体潜性(劣性)遺伝疾患。酸素が少ない環境(低酸素、アシドーシス、脱水、感染など)になると、HbSが結晶化(重合)して赤血球が硬い鎌状に変形する。これが細い血管を塞ぎ(血管閉塞)、また壊れやすいため溶血を起こす。
試験・臨床での重要ポイント
『アフリカ系(黒人)に多い』ことが最大の疫学キーワード。※ヘテロ接合体(保因者)はマラリア感染に対して抵抗性を持つため、マラリア流行地域で遺伝子が淘汰されず生き残ったという進化の背景がある。
血管が詰まることによる『血管閉塞クリーゼ(強烈な骨・関節・胸部の疼痛発作)』と、脾臓の血管が繰り返し詰まって脾臓が萎縮・機能不全になる『自己脾摘(autosplenectomy)』が超頻出。
脾臓が機能しないため、肺炎球菌やインフルエンザ桿菌などの「莢膜を持つ細菌」に対する重症感染症(敗血症)のリスクが極めて高く、小児期の死因トップとなる。
覚え方・コツ
「鎌状赤血球症は『酸素が減ると赤血球が鎌(三日月)の形に固まって、細い血管に詰まる病気』!アフリカ系に多く、マラリアに強いのが特徴だ。血管に詰まると死ぬほど痛い(疼痛クリーゼ)。脾臓も詰まってミイラ化(自己脾摘)するから、免疫が落ちて肺炎球菌に弱くなる(ワクチン必須)!治療は痛み止めと点滴、そして胎児型ヘモグロビン(HbF)を増やして鎌化を防ぐ薬『ヒドロキシウレア』を使う!」
白血球減少症は、末梢血の白血球数が基準値(通常4000/μL未満)を下回る状態。臨床的に最も問題となるのは、細菌感染の防御を担う「好中球」の減少(好中球数1500/μL未満)であり、500/μL未満になると「無顆粒球症」と呼ばれ、致死的な感染症のリスクとなる。
非ホジキンリンパ腫は、ホジキンリンパ腫以外の全ての悪性リンパ腫の総称であり、日本のリンパ腫の90%以上を占める。B細胞性、T/NK細胞性に大別され、節外病変(胃、腸、甲状腺など)が多く、非連続性に飛び石のように転移する特徴がある。
慢性骨髄性白血病は、造血幹細胞の染色体異常(フィラデルフィア染色体)によって生じる骨髄増殖性腫瘍。異常なチロシンキナーゼ(BCR-ABL)が作られ、白血球(特に顆粒球系)が自律性に過剰増殖する。チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の登場により予後が劇的に改善した。
慢性リンパ性白血病は、形態的に成熟した小型のBリンパ球が異常増殖し、末梢血や骨髄、リンパ節に蓄積する低悪性度の血液腫瘍。欧米の白血病では最多だが、日本人には極めて稀である。進行が非常に緩徐であり、無症状の場合は治療を行わず経過観察される。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。